金融機関はかえって仕事しづらくなった?
一方、金融機関としては、貸したお金は返してもらわなければなりません。返してもらえなくなれば、不良債権となって貸し倒れが発生します。1990年代後半~2000年代初めの金融危機の時代。多くの金融機関がこの不良債権の処理に苦しみました。潰れないと言われていた銀行が経営破たん。「銀行神話」が崩壊したのです。
現実問題として、コロナ禍で経営が行き詰まり、経営破たんした企業はジワジワと増えています。「コロナ倒産」です。こういった企業に貸したお金は、その多くが返ってきません。
倒産したくない企業は、金融機関に追加融資をお願いしたり、返済を待ってもらったりします。もちろん、倒産したら金融機関にとっても大打撃ですから、そうならないようになんとか支えようとします。西村発言に金融機関が「激怒」したことが報じられているのは、そのためと考えられます。
とはいえ、半面、債権(貸したお金)の取り立ても厳しくなります。自分たちが生き残るため、経営の厳しい飲食店などから資金を引き揚げたり、貸し渋ったり。そんなことが起こる可能性が出てくるのです。TVドラマ「半沢直樹」にもありました、「銀行は雨の日に傘を取り上げる......」というシーンです。
そうです。政府の「要請」があろうとなかろうと、経営が厳しくなった企業にプレッシャーをかけるのが金融機関なのです。コロナ禍は変異ウイルスが猛威を振るって、いまだ経済の見通しが立ちません。西村大臣があのようなことを言わなくても、おそらくは金融機関が自分自身の生き残りのために「プレッシャー」をかけることは、そう遠くないかもしれません。
では、また!(馬医金満)