商品やサービスに、お客様に選ばれるウリがなければ売れない。これは当然のことです。
ピーター・ドラッカーは、「強みのうえにすべてを築け」と言いました。ビジネス活動とは、他社よりすぐれているポイント、お客様に選ばれる「ウリ」をつきとめ、これを主張していくものです。ところが、彼はこんな言葉も残しています。
「自ら決めた強みは、たいてい間違っている」
「即買いされる技術 キャッチコピーはウリが9割」(弓削徹著)秀和システム
「ウリ」とは何なのか
「ウリ」を見誤っている事故、事例はいくらでもあげることができます。発明家のエジソンは蓄音機を発明しました。ビジネスマンとしても優秀だったエジソンは、蓄音機のウリを「ビジネスメモを音声で録音できる事務機器」と定めて、販売活動を展開しました。
ところが、反応は思わしくなく、売り上げも上がりません。近くで見ていた別のセールスマンが「これは音楽を録音、再生するのによい商品なのではないか?」と考え、営業活動をしたところ、歴史を変える巨大な市場が立ち上がったのです。
天才エジソンであっても、このように「ウリ」を誤ります。近くにいるからこそ、「ウリ」がわからないのです。
SONYが、はじめてテープレコーダーを開発したときも同じでした。じつは、最初は裁判所や法務省に売り込みをかけたのです。裁判や証言の記録に利用するという着眼点はわるくないと思うものの、これが苦戦します。
しかし、改良版の後継機ができたころには戦略を転換。音楽教育に使うことを前提に学校へ売り込みをかけ、今度は成功します。同じ音響製品で、エジソンと同じタイプの失敗をたどったところが興味深い点です。
不景気だから? 少子化だから? いえいえ、どんな経済不況のド真ん中であっても、売れに売れているものはあります。
少子化のせいで単価が上がり、逆に収益力が高まった商品もあります。同じような商品なのに、片方は手放しで売れていて、もう一方はさっぱり売れないという話はよく耳にします。