基礎疾患のない50代でもいきなり重症化
東京都を中心にした首都圏でも「デルタ株」にどんどん置き換わっており、感染が急拡大している。7月15日、都のモニタリング会議では4週間後には新規感染者が2406人に達し、これまで最多だった第3波のピーク時の1816人を大きく超えるという恐ろしい数字を示した。
一方、65歳以上の高齢者はワクチン接種が進んでいるため、感染者の中心は働き盛りの50代以下に移っている。いわゆる「50代問題」だ。
産経新聞(7月15日付)「都内感染『50代問題』重症者急増、最多3割に」が若い層に重症者が増えていることを、こう伝える。
「都内の新型コロナ患者で、50代の重症者が6月下旬以降に増加し、全体の約3割を占め世代別で最多になっている。50代は入院者数の割合でも約2割と最多で、感染が急拡大した年明けの『第3波』や春の『第4波』にみられなかった傾向だ。都は『50代問題』と称し、基礎疾患を持つ人が多くなる50代にワクチン接種を優先的に進める方針だ」
東京都の公表データによると、7月に入り、重症者では50代が60代を上回り、全体の4割近くに達した。入院者数の世代別割合をみても、50代が6月以降、最多の状況が続く。30代、40代の入院者数の割合も増えて、50代以下で全体の約7割を占めるようになった。
産経新聞が続ける。
「都内で置き換わりが進むデルタ株の影響により、20、30代で肺炎を発症する中等症患者も増えており、症状悪化の『若年化』が病床を逼迫させる新たな懸念材料となっている。東京都品川区の昭和大学病院では7月12日、肺炎が悪化し、重症となった50代患者が別の病院から転送されてきた。酸素を吸入しながらストレッチャーに乗せられたこの患者は、CT検査を受けた後に集中治療室(ICU)に運ばれ、気管挿管して人工呼吸器を装着することになった」
同病院の相良博典(さがら・ひろのり)院長は、産経新聞の取材に、こう答えた。
「これまで、重症者といえば高齢者と基礎疾患がある人という印象だったが、状況は変わりつつある。6月下旬以降、基礎疾患を持たない中年層でも重症化リスクが高まっていると感じている。デルタ株では、中年層が短期間のうちに重症化することが多い。『若いから重症化しない、発症しない』というのは従来株での認識で、過去の話だ」
と警鐘を鳴らす。