東京五輪の開催は「企業の金儲けのため」
先日行われた読売新聞社の世論調査では、東京都に限定すると「五輪中止」が50%、「無観客で行う」が28%と、都民の「五輪離れ」を鮮明に裏付ける結果となりました。政府寄りの論調で知られる読売新聞の調査だけに驚きの数字です。私も「こんなに反対が多いのか」と絶句してしまいました。
世界中で新型コロナウイルスの感染が拡大して第4波や第5波の到来が懸念されても、開催国の国民が反対しても、世界中の人々が「関心ない」と示しても、著名アスリートが次々に出場辞退を申し出ても、それでも強行される東京五輪。
米紙ワシントン・ポストは「開催の目的は企業のもうけのため」という、ベテランスポーツ記者の記事を掲載しています。
Holding the Tokyo Olympics amid the covid pandemic threat is about corporate revenue, not the athletes
(新型コロナパンデミックの脅威の中で東京五輪を開催するのは、アスリートのためではなく企業が儲けるためだ)
記事では、「IOC gets the gold for greed」(IOCは強欲ぶりで金メダル獲得)と、人々の生活や命を省みずにひたすら強気発言を繰り返し、開催に向けて突き進むIOCを皮肉たっぷりに批判。ちなみに、巨額の放映権を払いながらも「史上最高の売り上げが期待できる」と豪語している米NBCテレビが「強欲銀メダル」で、日本の五輪関係者が「銅メダル」だそうですが、東京五輪は「強欲オリンピック」として歴史に名を残すのでしょうか。
それでは、「今週のニュースな英語」は「mute」(消音)を使った表現です。最近、オンライン会議などで「音声をミュートにして」などと、よく耳にする単語ですが、動詞や形容詞として使われます。
Mute your microphone
(マイクをミュートにしてください)
Unmute your microphone
(ミュートを解除してください)
mute as a fish
(黙りこくっている)
a mute appeal
(無言の訴え)
世界中の人々の目前に、「アスリートよりも金」をさらけ出してしまった東京五輪。この先、いったん離れてしまった人々の心を引き寄せることはできるのでしょうか。「mute」に込められた人々の憤りや不安、絶望は思った以上に強いかもしれません。(井津川倫子)