財務事務次官に矢野氏 異例のコースを歩む「直言の人」 モノを言った!? 官邸との距離感

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   財務省の幹部人事が発令され、主計局長の矢野康次氏(1985年旧大蔵省入省、一橋大卒)が2021年7月8日付で事務方トップの事務次官に就任した。

   「東大卒の指定席」といわれる同省事務次官に、他の大学出身者が就任するのは、06年7月就任の藤井秀人氏(71年同、京大卒)以来。一橋大卒では戦後初めてだ。そんな矢野氏は、どんな人物なのか――。

  • 財務省事務次官に矢野康次氏が異例の就任(写真は、東京・霞が関の財務省)
    財務省事務次官に矢野康次氏が異例の就任(写真は、東京・霞が関の財務省)
  • 財務省事務次官に矢野康次氏が異例の就任(写真は、東京・霞が関の財務省)

1年前のサプライズ人事

   矢野氏の次官就任が異例なのは出身大学だけではない。じつは矢野氏が霞が関の話題をさらったことが、過去にもあった。もっとも激震が走ったのは1年前、主税局長だった矢野氏の主計局長起用だった。

   予算編成を担う主計局は、「最強官庁」と呼ばれる同省内でもとりわけ強い権限を持つ、いわば「保守本流」。それを率いる主計局長は「次の事務次官」を約束された重要ポストだ。

   東大卒で将来有望なキャリア官僚は「幹部候補」として若手時代から主計局で経験を積み重ねる。予算編成の実務を担う主査や、現場を取り仕切る主計官などを歴任し、主計局長、事務次官へと駆け上がっていくのが、旧大蔵省時代から続く典型的な同省のエリートコースだ。

   当時の主計局長レースでも、このコースを歩んできた可部哲生・理財局長(1985年同、東大卒)、1期下の茶谷栄治・官房長(1986年同、東大卒)が本命と見られてきた。

   ところが、可部氏は国税庁長官に回り、茶谷氏は留任。次期次官といえる主計局長に就いたのが矢野氏だった。矢野氏は税制をつかさどる主税局畑が長く、主計局経験はあるものの主計官は経験していない。その矢野氏が主計局長に就くこと自体が「サプライズ」(経済官庁幹部)だったというわけだ。

   1年後の今年、矢野氏は事務次官に昇格。当時、主計局長レースを争った可部氏は国税庁長官を最後に退任した。何が二人の明暗を分けたのか――。それは、官邸との距離感だったとの見方がもっぱらだ。

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