コロナ禍が続くなか、日用消費財の販売で何がより苦戦したかを推定販売金額の減少から振り返る2021年上半期(データは5月分までを使用)苦戦ランキングの1位が、「うがい薬」だったことがわかった。
全国約6000店舗から収集している小売店販売データなどをもとに、株式会社インテージ(東京都千代田区)がまとめ、2021年7月12日に発表した。2位は「口紅」、3位は「ほほべに」、4位「ぬれティッシュ」、5位が「総合感冒薬」だった。
「うがい薬」昨年の勢いに陰り
「販売苦戦したものランキング」1位の「うがい薬」は、2020年に大幅に増えた反動で半減。感染症対策を期待されて売り上げを伸ばしていたが、今年はその勢いに陰りがみられた。それでも、コロナ禍の前年(19年)同時期に比べると31%増と販売金額は増えている。
2位の「口紅」は40%減、3位の「ほほべに」も38%減と落ち込んだ。これらの商品は昨年も苦しんだカテゴリーで、口紅は2019年上半期に比べて64%減、ほほべにも52%減とコロナ禍前の半分以下になっている。
昨年に比べて外出自体は増える傾向にあるものの、外出時はほとんどの人がマスクを着用していることもあり、マスクで隠れる部分用の化粧品不振は続いている。
ただ、同じ化粧品でも需要が回復してきている商品もあり、目の周りの化粧で使う眉目料は前年比10%増と躍進し、2年前と比べてもほぼ同水準にまで戻ってきている。今後、ワクチン接種の増加などで屋外でのマスクの着用が緩和されれば、化粧品全体の売り上げも回復しそうだ。
うがい薬と同じような動きをしたのが4位の「ぬれティッシュ」。前年比34%減とダウンしたが、2019年に比べると40%増の売り上げとなった。一時期、ぬれティッシュの代用にも使われた6位の「清浄綿」(33%減)、9位の「せっけん」(27%減)も含め、昨年の伸びが大きく、今年だけの数字では判断できないという衛生系商品がトップ10に多く入った。
5位の「総合感冒薬」(33%減)、7位の「鎮咳去痰剤」(28%減)が上位に入った。マスクや手洗い、うがいなどをしっかりしたことで、風邪をひく人が例年より大幅に少ないことなどから、2年連続で減少した。8位の「口腔用薬」は、のどに直接消毒液を吹き付けるタイプのものなどが主で、2020年上半期は6%増とプラスだったが、今年は28%減とマイナスとなった。
昨年売れまくったマスク、2021年は2割減
減少が目立ったのが、巣ごもりで2020年に増加した10位の「小麦粉」(26%減)や13位の「プレミックス」(23%減)。おうち時間のベーキングブームなどに陰りがチラつきはじめた。14位の「畜肉缶詰」(23%減)は、内食・備蓄需要の高まるなか、コンビーフ缶が注目を集めて人気となっていた。
いずれも今年の減少幅は大きいが、それでも2019年の数字は上回っている。11位の「芳香・消臭剤」(25%減)、12位の「住居用クリーナー」(23%減)も2割以上ダウンしたが、コロナ禍前よりは売れている。
2020年上半期に売れに売れたマスク(285%)や殺菌消毒剤(232%)、体温計(227%)の感染症対策の関連商品をみると、コロナ2年目の今年はマスクが19%減、殺菌消毒剤は11%減、体温計も13%減と、1割超減少した。
ちなみに2020年上期の販売に苦戦したものランキングは、1位が主に酔い止めなどが入る鎮暈剤(46%減)、2位が日焼け・日焼け止め(43%減)と、外出自粛の影響を受けた商品が上位を占めた。