佐賀県知事「地域とお客が一緒になり店を盛り立てる」
政府のこの政策を公然と「告げ口システムだ」と批判の声をあげたのが、佐賀県の山口祥義(やまぐち・よしのり)知事だ。
地元、佐賀新聞(7月10日付)「佐賀県・山口知事『告げ口のよう』飲食店の感染対策をグルメサイトで評価収集 政府の新システムを批判」が、こう伝えている。
「新型コロナ対策に取り組む飲食店を都道府県が認証する制度を巡り、佐賀県の山口祥義知事は7月9日、政府が大手グルメサイトを通じて対策が適切か利用客からの書き込みでチェックする新システムを導入することに関し、『告げ口のようなやり方だ』と批判した。飲食店の支援など地域の問題は都道府県に任せるべきと訴えた。感染対策が適切な店舗に都道府県がお墨付きを与える飲食店認証制度は、佐賀県でも6月中旬から開始し、現時点で130店ほどが認証を受けた」
佐賀県には「〈佐賀支え愛〉感染対策認証店」という認証制度が6月10日から始まった。これは、「カウンターテーブル上にアクリル板を設置する」「席の間隔を最低 1メートル以上確保する」など、全部で38項目の安全基準に合格した認証店にはステッカーと、1店舗につき15万円の支援金を交付する。お客の「通報」などではなく、きちんと自治体職員が店を訪れて、詳細にチェックするものだ。そして、そうした感染対策に熱心に取り組む店を、地域とお客が一緒になって盛り立てていこうというシステムなのだ。
それだけに、山口知事には政府の制度が許せなかった。佐賀新聞がこう続ける。
「山口知事は県庁で開いた新型コロナ対策本部会議で『告げ口システムを国がつくるのはどうかと思う。度を超えた書き込みが行われる可能性もあり、誤った情報により誹謗中傷につながりかねない。佐賀県は行政が指導する形ではなく、互いにエールを送り合って信頼関係の中で認証制度をつくっている』と強調した。そのうえで国と地方のコロナ対策の役割分担に関し、『国は水際対策とワクチン供給の2つに専念してほしい。それ以外の(飲食店支援など)地域の問題は自治体を信頼してほしい』と訴えた」