週刊エコノミストはまだまだ強い米国経済&株
「週刊エコノミスト」(2021年7月20日号)の特集は、「まだまだ強い米国経済&株」。冒頭の編集部レポートは「巨額財政支出が後押しし、金利上昇は怖くない、株高続く」と結論づけている。米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げのタイミングをアンケート調査している。
BNPパリバ証券と明治安田総合研究所の2社が「23年1~3月期」と最も早い時期の開始を予想。逆に第一生命経済研究所の「24年10~12月期」が最も遅く、2年近い開きがあった。実際に利上げを実現するまでには、いくつかのハードルを乗り越えなければならないという見方では共通しているという。
米国の物価上昇は持続的か、一時的かというテーマで2人の専門家が論じている。重見吉徳氏(フィデリティ投信)は、「米国はインフレで政府債務を返済する」と持続的な上昇との見方だ。これに対して、窪谷浩氏(ニッセイ基礎研究所)は、物価を押し上げたのは中古車価格、航空運賃など一部の品目に限られており、来年に向けて物価上昇圧力は緩和される可能性が高い、と見ている。
ワクチン接種が進み、経済が急回復する米国経済の今後の見通しについて、主要金融機関15社にアンケート調査している。実質GDP予想では、SMBC日興証券とバークレイズ証券が最も高い7.1%を予想。また、15社中4社が6.5%を予想している。
ドル円相場の見通しは、回答した13社がドル高(円安)の上限を110円台と予想。最もドル高(円安)を予想したのはSMBC日興証券ら6社の1ドル=115円で、逆に最もドル安(円高)を予想したのはクレディ・スイス証券の1ドル=102円だった。
好調と思われる米国経済に死角はないのか? ワクチンの有効性が十分でなく、秋以降、コロナの感染が再拡大し、経済活動が停滞するのを恐れる声もある。
もう一つの特集「経済学者 コロナとの闘い」では、「中小民間病院への高い依存と患者分散が医療逼迫を引き起こした」とする高久玲音・一橋大学経済学研究科准教授や「マーケットデザインの知見でワクチン配布の最適化はできる」という小島武仁・東京大学マーケットデザインセンター長の見解を紹介している。
医療関係者や感染学者の声ばかりがメディアを通じて「科学的」知見として流布してきたが、経済学者がコロナに対応する論拠を持っていることを知り、大いに刺激を受けた。(渡辺淳悦)