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エンタメとエレキのシナジーが出たソニー

「週刊東洋経済」2021年7月17日号
「週刊東洋経済」2021年7月17日号

   「週刊東洋経済」(2021年7月17日号)は、「ソニー 掛け算の経営」と題した特集を組んでいる。ついにエンタメとエレキのシナジーが出たというのだ。

   ソニーの業績は絶好調だ。21年3月期は6つの事業のうち、米中摩擦の影響を受けた半導体事業を除く5事業が増益。保有株式の評価益258億円を上乗せし、純利益が初めて1兆円の大台を突破した。

   今年4月、ソニーは63年ぶりの社名変更に踏み切った。新しい社名はソニーグループ。伝統ある「ソニー」の社名は、エレキ部門の子会社に引き継がれた。この10年でエレキ事業の売上高比率は大きく下がり、ゲーム、映画、金融などフラット化した各事業を「掛け算」していくのが、今のソニーの戦略だという。

   その一例として挙げているのが、半導体とスマホとエンタメを掛け算した電気自動車「VISION-S(ビジョンエス)」だ。量産化の予定はないものの、欧州では公道での試験走行を重ねている。EVにスマホで培った技術を応用していることについて、川西泉・ソニーグループ常務AIロボティクスビジネス担当は「次世代自動車は、基本的にインターネットに接続するだろう。すると、スマホの技術がそのまま使える。

   たとえば、ビジョンエスのダッシュボードにはアンドロイドOSを搭載している。当社だから難なく造れたが、これを自動車メーカーが一からやるのは大変だ」と話している。

   ゲーム部門の営業利益は前年同期比43%増の3422億円と過去最高を更新した。牽引したのは7年ぶりの新しいゲーム機「プレイステーション(PS)5」だ。新ゲーム機の発売時は、製造コストが販売価格より高くなる「逆ザヤ」が生じるが、PS5は初年度に最高益を更新する快挙を成し遂げた。

   さらにゲーム機本体だけでなく自社スタジオ製の人気ソフトも増え、ソフト販売、通信で対戦できるネットワークサービスも伸びた。月額850円の定額サービスの会員は4760万人と5000万人に迫る勢いだ。

   音楽業界でもソニーミュージックの一人勝ちがささやかれている。ビルボードジャパンが発表する2020年の年間ヒットチャートの上位10曲のうち、ソニーミュージック所属アーティストの楽曲が4曲を占めた。年間1位の「夜に駆ける」は、2人組ユニット・YOASOBIのデビュー作だ。ソニーミュージックが運営する小説投稿サイトに投稿された小説が基になったというのもユニークだ。

   ほかにも、アニメ「鬼滅の刃」の主題歌を歌ったLiSAや米津玄師など、多くのヒットアーティストを輩出している。その秘訣について、「規模と総合力があるから、短期的な利益にとらわれず、多様なアーティストを発掘・育成できる」という業界関係者の声を紹介している。さらに芽が出た新人を大きく伸ばすマーケティングの力があるという。

   音楽制作だけでなく、アニメ制作・配信、モバイルゲームまで幅広くエンターテインメント事業を手掛けるため、新しい掛け合わせをすることでヒットが生まれているようだ。

   エレキの会社と思っていたソニーは大きく姿を変えようとしていることが、この特集からよくわかった。

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