エルサルバドルがビットコインを法定通貨に採用 仮想通貨に衝撃の新潮流!

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   2021年6月6日、仮想通貨(暗号資産)業界で衝撃的なニュースが流れました。アメリカ、フロリダ州マイアミで行われたビットコインのカンファレンスに、エルサルバドルのナジブ・ブケレ大統領がサプライズで登場。ビットコインを、自国の法定通貨として取り扱う予定であることを発表したのです。

   いったいどういう理由があり、これから何が起きるのでしょうか?

   仮想通貨の新しい潮流をお伝えします。

  • ビットコインが「世界共通通貨」になるかも!?
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米ドルを捨てるエルサルバドル

   エルサルバドルは、中央アメリカにある人口640万人ほどの国です。国土は九州の半分のほどで、人口は千葉県と同じくらいです。

   自国通貨として、以前は「コロン」を使用していましたが、2001年1月に米ドルに変更しています。そう、エルサルバドルは米ドルという基軸通貨を捨ててまでビットコインの利用を選んだのです。

   その主な目的として、国民の約7割が銀行口座を持っていないということが挙げられます。銀行口座を持っていないということは、主な保管場所は自宅となるのでしょう。支払い手段として銀行送金ができないでしょうし、クレジットカードも保有できません。

   また、エルサルバドルは世界一治安が悪いと言われており、現金を保有していることは不安なことも多いのでしょう。

   ただ、携帯電話は多くの国民が持っているようで、2018年時点で100人当たりの公衆携帯電話サービスの契約数は146.9人となっています。

   そのため、ビットコインを法定通貨にすることで携帯電話などで手軽に管理運用利できるようにしたいのでしょう。

   2020年10月にペイパルが仮想通貨の取り扱いを開始しており、今では世界中のユーザーが利用できるようになっています。

   今回、エルサルバドルの仮想通貨決済を後押ししたのは、国際送金を手掛けるストライプで、3月からエルサルバドルでの利用が始まっているそうです。つまり、突然の発表に見えるビットコインの法定通貨の採用も、数か月のテスト期間があり、国を悩ます問題解決に向けた英断といえる可能性があります。

ビットコインで投資を呼び込む

   ブケレ大統領のツイートでは、ビットコインを法定通貨にすることで、投資を呼び込む狙いがあるようです。 ビットコインの1%がエルサルバドルに投資されれば、GDP(国内総生産)を25%押し上げるとツイートしています。

   エルサルバドルのGDPは3兆円程度。日本でいえば、佐賀県や山梨県が同じ規模に当たります。

   6月末時点でのビットコインの時価総額は74兆円程度ですから、仮にエルサルバドルで利用される決済手段がドルからビットコインに移るとなると、ビットコインの時価総額は3兆円増加。価格へのインパクトは最低でも15万円ほどあると考えられます。

   ただ、エルサルバドルのGDPに寄与するかどうかは、現状では判断が付きづらいところです。

   ブケレ大統領によると、国営電力会社が火山の地熱発電でビットコインのマイニングを行う計画があるそうです。

エルサルバドルでは、国営電力会社が火山の地熱発電でビットコインのマイニングを行う計画がある(写真は●●)
エルサルバドルでは、国営電力会社が火山の地熱発電でビットコインのマイニングを行う計画がある(写真は●●)

   中国ではマイニングの禁止が発表されていることから、今後は中国資本のマイナーがエルサルバドルに移動する可能性もあるかもしれません。

   エルサルバドル政府は、6月24日にビットコインを管理するための公式デジタルウォレットをリリース。ダウンロードした国民には、30ドル相当のビットコインが配布されるそうです。なお、本人確認には顔認証機能が使われるそうです。

   法案の施行は、9月7日から。まずは、銀行口座を持たない7割の国民の経済活動の活性化が期待されそうです。

トンガやウルグアイも追随か!?

   6月9日にエルサルバドルの議会で法案が可決(賛成62人、反対19人、棄権3人)されると、ビットコインは大幅に上昇しました。仮想通貨市場に全体も大きく盛り上がり、仮想通貨市場の時価総額は1日で10兆円ほど増加しました。

●ビットコインの価格推移

出所:トレーディングビュー 期間:2021年6月3日~6月18日
出所:トレーディングビュー 期間:2021年6月3日~6月18日

   ビットコインを大量に保有しているマイクロストラテジー社のCEOマイケル・セイラ―氏や、世界投資家のウォーレン・バフェットと食事会を行ったジャスティン・サン氏など、あらゆる業界関係者がポジティブな意見を発信しています。

   その一方で、国内の交換業者ビットフライヤー創業者である加納裕三氏や、投資サポートサービスを提供するクリプタクト代表のアズムデ・アミン氏は、素直に喜べない旨を発信。ビットコインが法定通貨になることで、外国為替及び外国貿易法などの既存の法律で矛盾や抜け穴ができ、暗号資産の定義も変わってくる懸念があると伝えました。

   これが今後の仮想通貨業界を大きく変動させる要因となることは間違いないでしょう。すでに、トンガ王国やウルグアイが自国での採用を検討しているそうです。まさに、ビットコインが世界共通通貨になるために、大きく歩を進めたといえます。

   まだ法律面やIMFなどの国際決済機関がどうのように対応するのか不透明な部分が多過ぎますが、これまで多くの人が予想だにしなかった展開が幕を開けたことは間違いなさそうです。(ひろぴー)

ひろぴー
FX・仮想通貨トレーダー兼コラムニスト。
サラリーマントレーダーとして、「FXリアルトレード対決!」で優勝するなど、数多くの実績を残す。現在はラジオ日経で投資番組のパーソナリティを務める傍ら、「ザイ!FX」や「みんなの仮想通貨」などのポータルサイト大手での執筆活動にも精力的に取り組んでいる。2015年からは仮想通貨の可能性に注目。仮想通貨への投資を開始した。香港系プライベートファンドにも運用している。
仮想通貨Webサイト:Bitcoin-FXも運営しており、仮想通貨情報発信も行っている。
・仮想通貨ブログ ビットコインFX:https://bitcoin-fx.jp/
・初心者もできる、ビットコイン・イーサリアム投資情報サイト:https://btc-eth.jp/
・Twitter:ひろぴーFX@仮想通貨@hiropi_fx
児山 将(こやま・しょう)
2009年の大学4年時にFXをはじめ、一度は飲食店の店長として働くも相場に関りたく金融メディア大手に就職。記事執筆とサイトのディレクションを行う。FX以外にも、株、指数、オプション、商品、仮想通貨など多岐に渡る商品を取引。現在はフリーランスとしてサイト制作やコンテンツ制作を行いながら個人投資家として活動する。
・Twitter:児山 将@goahead5055
・初心者でもできる、ビットコイン・イーサリアム投資情報サイト https://btc-eth.jp/
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