「犬猿の仲」の携帯大手3社が、なんと宮崎県山間部に初の「共同店舗」 ガラケーも見捨てません!

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「先駆的モデルを作るという高揚感があった」

ショップの相談窓口になる旧駅員事務室(えびの市提供)
ショップの相談窓口になる旧駅員事務室(えびの市提供)

――きっかけは何ですか。

担当者「かつてはえびの市にもNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手3社のショップがあったのですが、少子高齢化で人口が減って、2017年にドコモが撤退したのを最後に、市内にはショップがなくなってしまいました。特にスマートフォンの操作や修理に困るお年寄りは、気軽に相談できる人が近くにいない環境ですから、クルマで往復1時間以上かけてショップがある隣の小林市や熊本県人吉市まで行かなくてはならなくなったのです。
市民から使い方だけでも市役所で相談に乗ってくれないかという要望があり、昨年、市役所企画課情報係に予約していただき、事前に使用している機種を教えていただければ対応することにしました。しかし、契約変更や機種変更などのニーズには対応できないことが課題でした。 昨年の国勢調査でのインターネット回答でも本市は低調でした。このままでは国が進める『DX』 (デジタルトランスフォーメーション=編集部注:情報革命の進化)に、高齢者を中心に取り残されてしまうという危機感から今回の取り組みを始めたのです」

――携帯大手3社には、村岡隆明市長が直接交渉したのですか。

担当者「本市には特命アドバイザーがおります。ソフトバンク社の伊藤孝秀さんです。伊藤さんは、ソフトバンクで地域の社会貢献を担うセクションであるコーポレート統括CSR本部に所属されています。えびの市はICTを活用した地域活性化と市民サービスの向上にむけて連携する協定をソフトバンクと昨年9月に結び、九州担当である伊藤さんを特命アドバイザーに任命しました。
まず伊藤さんに相談すると、必ず3キャリアとも賛同してくれる余地があるはずとのことでした。市長名で依頼文書を作成し、各キャリアには伊藤さんから説明をしていただきました。今年4月に各キャリアの担当者との合同会議を開きました」

――ライバル意識が非常に強い3社が、よく協力したと感心しますが...。

担当者「3キャリアが同じ土俵に乗っていただけるかどうか不安でしたが、合同の会議を行ったときに、通信事業者の責任として過疎地域での臨時出張店はキャリアごとに独自で既に実施しているが、場所の確保、住民への告知などで大変苦労されていたとお聞きしました。過疎地域に関しては決してコストを理由に見捨てているわけではないことがわかりました。かえって、今回の取り組みにお声がけいただき、大変ありがたいと感謝されたところです。
発表に至るまでウェブ会議を市と3キャリア合同で何度も行いましたが、それぞれのキャリアがキャリア独自のことを主張されるのではなく、お互いに建設的な意見を出していただき、前向きでかつ和やかな雰囲気で進めることができました。何かしら新しい先駆的なモデルを作るという高揚感があったのかもしれません。3キャリアとも、今回の取り組みが過疎地域のDX推進のモデルケースにしたいという意気込みを強く感じたところです」

――なるほど、いい話ですね。ところで、楽天モバイルには声をかけなかったのですか。

担当者「かつて市内にショップを開いていたのは、今回協力していただく3キャリアだけです。市民の大多数は3キャリアのユーザーであると推定しました。そのため楽天モバイル様には提案を控えました。楽天モバイル様には今後の動向の推移を見守りたいと思います」
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