今週(2021年6月28日週)は米国の雇用統計などの発表をきっかけに、取引に臨んだ学生トレーダーだが、結果は明暗が分かれた。
慶応義塾大学の2Gさんは大きく利益を上げたものの、「自分としては理解できず、また納得できない」と話す。「勝って兜の緒を締めよ」といったところか。一橋大学のボンゴレさんは保有していた米ドルを決済。利益を積み上げた。引き続き、ニュージーランド(NZ)ドルとカナダドルを保有。決済のタイミングを計るが、その一方でメキシコペソに興味津々のようす。
前週、体調を崩してお休みした早稲田大学のNAKAMURAさんは英ポンド円で仕掛けたが、結果的に損切り。復帰戦を飾れず、一歩後退した。明治大学の佐藤諒さんは米ドル円で挑戦したが、利益を出すことができなかった。同志社大学のFOXさんは、お休み。
英ポンドでトライするもマイナスに......(早稲田大学 NAKAMURAさん)
FX大学対抗戦をご覧のみなさま、こんにちは。早稲田大学3年のNAKAMURAです。
先週は体調を崩してしまいお休みさせていただきました。今週からまたよろしくお願いします。
さて、今週(2021年6月28日週)の結果ですが、残念ながら前回からマイナス8970円となり、全体で99万1960円となりました。
取引したのは7月3日(金)21時30分にアメリカの雇用統計(非農業部門雇用者数、失業率、製造業雇用者数、平均時給)と貿易収支が発表された後(日本時間21時33分)、英ポンド円を1ポンド=153.401円で、0.3ロット売りでエントリーし、153.2円で利益を確定。153.7円で損切りのOCO注文(二つの注文を同時に発注。一つの注文が約定すると、もう一つが自動的にキャンセルになる注文+方法)をしました。結果的に日本時間3時35分に153.7円で損切り、マイナス8970円となりました。
個人的には1時間足で見た時に1ポンド=154.45円付近と154.65円付近に横バイのトレンドラインが形成されており(下図の黄色いライン)この二つを突き抜けることはないだろうと予想したこと、またドル円相場が1時間足単位で16時から常に下降傾向にあったこと、上昇は指標発表による一時的なものですぐに下がるだろうと予測したこと(実際に15分足で見るとわかるように一時は153.2円付近まで下がりました)などを考慮し短期のつもりでエントリーしてしましたが、利益確定を15分足のボリンジャーバンドマイナスσ2(シグマ2)か、せめてマイナスσ1(シグマ1)で行おうとしたところ、予想に反してトレンドが転換してしまい、今回のOCO注文に繋がりました。
1時間足でストキャスティクスが25%以下であったこと、2時間前にはボリンジャーバンド マイナスσ3(シグマ3)をタッチしていたことなどを、より考慮すべきでした。短期決戦のつもりがそのままずるずるとポジションしてしまうことはこれまで何回かあったので反省点です。
今後は、短期と決めたものはその後に有利な要素を見つけたとしても時間を決めて短期のうちに必ず決済することを心がけていきます。
また、来週以降は中長期でエントリーするタイミングをつかむとともに、取引回数を増やし、今回分の挽回を図りたいです。
イールドカーブと金融相場から、業績相場への移り変わりとの関係性についても来週記載いたします。
◆ 児山将のワンポイントアドバイス
英国でインド株の影響が鮮明になってきており、ポンドは弱い状態が続いています。また、イングランド銀行のベイリー総裁はインフレ懸念を軽視した発言によりポンドの上値はさらに重くなっており、利上げ予想も従来の2022年5月よりも後退したと考えられます。
ただ、受託価格指数や建設業PMIは良く、原油も高値での推移が続いています。そのため、コロナの状況が改善されれば、買い戻される余地は十分ありそうです。NAKAMURさんの分析による方向性も良いと思うのですが、ポンド円とポンドドルの合成通貨であるため、ドル円の値動きに気を配ってみてはいかがでしょうか。とくに直近の相場の中心はドル円となっているため、クロス円はいつも以上にドル円に左右される状況となっています。
前週からの損益 マイナス8970円
7月2日現在 99万1960円
利益は得たが、「納得できない」!?(慶応義塾大学 2G)
FX大学対抗戦6週目。今週(6月28日週)は米雇用統計が発表された週であった。結果としては取引して利益を上げることができたが、自分としては理解できず、また納得できない状況だ。
6月29日23時半ごろに、米ドルをロング(買い)でエントリーした。大した動機もなく、今週は1ドル=111円を挟んだレンジになると見込み、良いタイミングだと、ある種感覚で取引に臨んだ。30日に少しずつ下がっていき、離したくはなったが何とか持ちこたえていた。
7月1日になる直前に突如大きく上昇し、一気に111円に乗った。暴落するのを恐れて、111.053円で売った。110.465円から111.053円で、スプレッドは0.002円。15lotで参加したので、8万7900円の利益を得ることができた。
一応、今週の動きについてまとめておきたい。
◆ 今週の動き
今週は、ドル高が進行。週末の米雇用統計を控えて特段の材料に欠けるなか、ドル買いの動きが広がった。6月から7月への月替わりが週央にあり、実需フローや投資家のポジション組み直しなどの動きがドル相場を押し上げたのだろうか。
株式市場は米株が最高値更新の動き、原油相場も高値追いの展開となっており、投資資金が活発に動いているように感じる。新型コロナウイルス関連では、デルタ変異種の感染拡大がさらなる行動制限措置につながる動きが散見されており、引き続き不安定な状況だった。
一方で、各国の景況感はパンデミック禍の前の水準を回復しており、経済活動はすでに動き出している。各国の中央銀行の関係者からは出口戦略について慎重な姿勢が強調されており、市場の不安心理を落ち着かせる面もあった。米雇用統計は雇用者数の増加が予想を上回る一方で、失業率は予想外の悪化とまちまちの内容だった。
◆ まとめ
結果として利益をあげることはできたが、その根拠を論理的に説明できないので、これで喜ぶべきではないと感じた。実際、焦ってすぐに売ってしまった点を踏まえてもまだまだ学習が必要だと思う。
来週のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨の公表に注意しながら、今後も冷静に考えていきたい。
◆ 児山将のワンポイントアドバイス
米国雇用統計では、非農業部門雇用者数は良い結果でしたが、失業率は上昇し、労働参加率が伸び悩みました。バイデン政権の失業保険の割増給付などの手厚い保証のため、就職するよりも収入が増える人が多く、それゆえ雇用が戻らないという矛盾もあるそうです。しかし、6月半ばから一部の州では割増給付の打ち切りを始めています。そして、給付を打ち切った州の雇用は伸びているとの報告があり、今後も雇用は伸び続けると考えられます。
つまり、来月の雇用統計ではさらに良い結果が出ることが期待できそうです。
前週からの損益 プラス8万7900円
7月2日現在 110万4700円
確実に利益を積み重ねるのは難しい(明治大学 佐藤諒さん)
結果から言うと、今週(6月28日週)は利益を出すことができませんでした。先週まではクロス円が同じような動きをしていたように感じていたのですが、今週はそれぞれが違う動きをしていたように思います。それぞれの通貨ペアで値動きが異なるほうがチャート分析のしがいがあるのでワクワクしています。
◆ 取引1 6月28日10時20分
EUR/JPY(ユーロ円)買い マイナス1万円
こちらは EUR/JPY の1時間足チャートです。
画像内にも示しているとおり、下値ブレイクのタイミングで売りを仕掛けたのですが、損切り注文が近すぎて、短期的な反発で決済してしまったようです。この経験をもとに、適切な損切り注文を模索していこうと思います。
また、この記事を書くにあたって良い復習の機会になり、なぜ利益が出なかったかを確かめることができ、大変ためになっています。
◆ 取引2 6月30日23時
GBP/JPY(英ポンド円)買い マイナス1万円
こちらはロンドンフィックスによるポンド需要を見越した買いです。過去の経験より成功例が高く、今回もチャレンジしてみました。あまり自信がなかったせいで、エントリーが遅くなったのに加えて損切りも早くなり、微損で撤退しました。少し悔しい取引にはなりましたが、ファンダ的要因でのエントリーだったので、チャート分析が疎かになったと思います。
◆ 取引3 7月1日16時40分
EUR/JPY(ユーロ円) プラス1万円
下の画像はEUR/JPYの1時間足チャートです。
トレンドラインを抜けたタイミングでのロングがうまくいきました。たまにある短期的な強いトレンドを捕らえられると気持ちいいものです。利益確定の場所に現れている、下値水平線の上値切り下げの三角持ち合い後は大きく動く傾向にあるように思っています。今後はその形を狙っていきたいと思います。
◆ まとめ
値動きを当てることは非常に難しく、当たったからと言って利益があるわけではないと痛感させられました。短期的な反発にやられてしまったり、逆に助けられたりと......。このような相場において確実に利益を積み重ねるのはとても大変なことだと感じました。これまではエントリーを中心に考えていましたが、決済についてもこれからは考えていこうと思います。
取引1:マイナス1万円
取引2:マイナス1万円
取引3:プラス1万円
◆ 児山将のワンポイントアドバイス
ここ最近、ユーロに動きがなく100ポイントのレンジ相場となっています。よって、ユーロ円はドル円に左右される展開といえます。
さて、月末のリバランスではドル買いとなりました。投資信託などを通じて米国株への買い需要が強く、ドル買いとなったと解説されています。6月後半は円安への進みが早かったのは、こういった需給があるからではないでしょうか。
しかし、雇用統計後には一転急落しており、IMMのポジションも積み上がっていることから、ポジションを調整しながらのドル高というシナリオがメインではないでしょうか。
前週からの損益 マイナス100万円
7月2日現在 106万円
メキシコペソ、気になる......(一橋大学 ボンゴレさん)
利用していたGMOクリック証券のデモトレード期間が終了し、保有していたポジションがリセットされたので、スワップポイントの利益分は計上しませんでした。保有していたNZドル(=79円の買い)とカナダドル(=90.5円の買い)は様子見をしてから損益を計上します。
他に保有していた8000通貨分の米ドルは、1米ドル=110.1円のときに決済し、2万4000円の利益を得ました。今週はあまりまとまった時間が取れなかったので、これ以外は取引していません。
ニュージーランド(NZ)もカナダも政府は早期利上げを示唆しています。今後評価されるのではないかと思っているので、まだ決済する予定はありません。1通貨当たりに必要な円が下がったタイミングを見計らって買い足そうと思っています。
NZドル円とカナダドル円以外で気になっている通貨ペアは、メキシコペソです。アメリカの経済回復の恩恵を受けそうであることと、インフレ加速を受けて政策金利の引き上げを発表したこと、原油価格が影響を与える資源国通貨であることが主な理由です。
現時点でメキシコペソ円は変動が少なく長期的には堅調にメキシコペソ高が進んでいる印象のため、タイミングを見て買うか迷っています。
懸念点は半導体不足による製造業及び輸出の落ち込みと、経済が未回復の中での利上げが及ぼす影響です。今は1メキシコペソ=5.5円で指値注文をしているのですが、まだ約定されていません。
保有するすべての米ドル円を決済したこの機会に、自分の成長のため来週は他の通貨ペアを中心に取引をしてみようと思います。
◆ 児山将のワンポイントアドバイス
メキシコペソは、良い選択肢だと思います。6月25日にメキシコ中央銀行が市場参加者の予想外となる利上げを発表。政策金利を0.25%引き上げ4.25%としました。インフレに対応した格好で、同日発表された6月前半の消費者物価指数は前年比で6%以上まで上昇し、予想も上回っていました。発表後に高値を付けていますが、押したところを拾っていけば手堅い運用ができるファンダメンタルズであると思います。
コロナショック後の上昇相場では、水平線もきれいに引けますので、テクニカル的にもエントリーしやすい通貨ペアです。
前週からの損益 プラス2万4000円
7月2日現在 109万5981円
神奈川県出身。
◆ 多忙のため取引できませんでした。来週、また頑張ります(同志社大学 FOX)
前週からの損益 プラスマイナスゼロ
7月2日現在 103万4040円
福岡県出身。
◆100万円増額計画 FX大学対抗戦のルール学生投資連合USIC
・元本100万円のデモトレードです。
・通貨ペアはクロス円取引とします。
・レバレッジは25倍を上限(法令に基づく上限)とします。
・取引の過程で資産が「ゼロ」(元本割れ)になった場合は、その時点でリタイアとなります。
・順位は、11月26日時点の運用損益で決めます。
「学生の金融リテラシー向上」を理念に全国26大学1000人以上で構成。企業団体・官公庁との勉強会の開催、IRコンテストの運営、金融情報誌「SPOCK」を発行する。
http://usic2008.com/