コロナ禍で志願者が減った私立大学 週刊ダイヤモンドが特集
「週刊ダイヤモンド」(2021年7月10日号)の特集は、「『狙い目』と『お得さ』が激変! 入試 就職 序列 大学」。コロナ禍で変化した大学選びをレポートしている。
2021年入試の特徴として、地元志向、安全志向、「文低理高」などを挙げている。また私立大学の志願者数が激減した。大幅減として注目されたのは、早稲田大学と青山学院大学だ。早稲田大学の政治経済学部は28%、国際教養学部は37%、スポーツ科学部は48%の志願者減。青山学院大学も法学部、経営学部、国際政治学部がそろって50%だった。
今年の全般的な傾向に加えて、大掛かりな入試改革に取り組み、選抜方式を変えたのが志願者減につながったと見られる。
人気だった国際系学部の志願者がコロナ禍で軒並み減ったのも特徴だ。「新型コロナ終息が期待できる数年後を考えれば、人気が下がっている今、『とにかく受けておく』ことでチャンスは広がる」というアドバイスを紹介している。
コロナ不況による経済的理由から、私立大学専願から国公立大学との併願に切り替えるケースが増えているそうだ。しかし、3教科3科目受験を基本とする私立大入試から5教科7科目を基本とする国立大の受験対策に切り替えるのは容易ではない。でもあきらめるのは早いという。
九州大学理学部地球惑星科学科や東京外国語大学国際社会学部などの後期入試では、3教科でも受験できる。河合塾のデータでは、後期日程で国立大に合格した受験生の10人に1人近くが、3教科受験によるものだ。
パート2では、ダブル合格時の進学率で難関大学の人気の実態に迫っている。たとえば、早稲田大学政治経済学部と慶應義塾大学法学部にダブル合格した際の進学率は、71%対29%だ。東進ハイスクールを運営するナガセの市村秀二広報部長は「限られたサンプル数ではあるが、早稲田大学の政治経済学部が、これまで長い間かなわなかった慶應大学法学部を逆転したのは特筆すべきことだ」と強調している。
また、「GMARCH」と言われる「学習院・明治・青山学院・立教・中央・法政」に関して、「明治の強さは別格だが、立教対青山学院で、かつては立教が強かったが、青山学院が優位になるケースが出てきているのは新たな傾向」と分析している。
「就職に強いレバレッジな大学」ランキングも注目だ。入学しやすい割に有名企業への就職率が高い"お得な"大学と言える。
国公立大では、名古屋工業大学、九州工業大学、電気通信大学、横浜国立大学が上位に入った。私立大では、芝浦工業大学、豊田工業大学、東京理科大学、上智大学、同志社大学がランクイン。工業大、理系大が就職に強いことをうかがわせる。
パート3の大学院に関する記事で注目したのが、MBAを志望する社会人がビジネススクールで急増していることだ。京都大学、早稲田大学などで倍率が急伸した。理由は「コロナ特需」だという。
20代後半~30代前半の若手社会人は、リモートワークで生じた時間的余裕をスキルアップに充てるため。30代後半~40代の中堅社会人は、「コロナ禍による経営環境の悪化と雇用不安に背中を押されたケースが目立つ」という分析を紹介している。新型コロナウイルスの影響は、こんなところにも出ているのかと驚いた。