まるで「アルマゲドン」!? 創業55周年を迎えた町工場の記念動画がカッコいい 制作秘話を聞いた

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セリフが一切ないのはなぜ? 石井社長に聞くと...

――動画でこだわったポイントは?

石井さん「仕事に向き合う真剣な姿を撮って発信していきたかったので、コミカルな内容は含めませんでした。一般的に、町工場には暗い、汚いといったマイナスのイメージを持っている人が多いと思います。たしかに汗と油にまみれて仕事をしていますが、町工場で生み出す価値が今の社会を支えていること、また真剣にモノづくりに取り組むことがとてもカッコいいことを伝えたいです。
井埜さん「自然な部分はそのまま生かしつつ、並んで歩くシーンなどは「笑わないで、真剣な顔してください」と言いながら撮影しました。何かに立ち向かっていく男のカッコよさもあるのかなと思い、映画『アルマゲドン』(1998年)を意識しています。1日で撮影し、1か月半くらいで形にしました」
Sunset filmsの代表取締役・井埜涼太さん
Sunset filmsの代表取締役・井埜涼太さん

――たしかに、映画の予告のような迫力ある演出でした。

井埜さん「もともと私たちはミュージックビデオ(MV)を撮っており、MVの質を企業にあてたら面白いんじゃないかということで、事業をBtoBに変換していきました。なので今回のスモークなどの演出は、自分たちとしては結構やりやすかったです。ライティングとかもそうですが、MVと変わりないレベルなのかなと思います」

――セリフや字幕が出てこないのが印象的ですね。

石井さん「必要な言葉や文字の情報は、ほかの会社紹介の動画でお伝えしています。今回は情報を伝えるというより、従業員の「姿」を見てもらうことに注力しています」
井埜さん「職人たちの真剣な目線がやっぱりカッコいいですよね。電話が鳴る音や溶接の「ジジッ」という音でリアルに表現しています。
あと、動画は社員のご家族も見るので、このような形で「お父さん、お母さんはカッコよく仕事しているんだよ」と伝えたいと思いました」

――なるほど。動画には34人の社員全員が登場していますが、撮影の様子はいかがでしたか。

石井さん「社員には『顔出しNGの人は外します。ただ、55周年なので、できればみんなに映ってほしいです』という話をしました。すると個別の映像がNGな人はいましたが、最後の全員で映るシーンは実現できました。みんな動画に映ることがなかなかないので、面白がる人もいれば、戸惑う人もいましたね」

――そうだったのですね。動画公開後は、どのような反応が寄せられましたか。

井埜さん「ツイッターでは、『こういう人たちが日本の産業を支えているんだ』というコメントがみられ、狙ったどおりにいったかなと思います」
石井さん「従業員の子供が野球チームに入っていて、そのご父兄から『見ましたよ』というお声をいただきました。そういった反響はけっこうありましたね」

――最後に、石井工機の創業55周年を受けてのお気持ちと、今後の展望をお聞かせください。

石井さん「これまで、町工場では技術の向上を優先させてきたため、販売力や営業力はあまり重要視されてきませんでした。しかし時代が変わって、さまざまな情報が手に入るようになり、設備をどこに作らせるかという業者の選定先が変わってきています。そのため、当社の価値を広く正しく伝えていくためには、動画やメディアを使って発信していくこともすごく大切です。こうした発信を通して製造業や町工場が生み出す価値を知ってもらい、たくさんの企業に選んでもらえる企業になれたらなと思っています」
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