株主が「ノー」前代未聞の異常事態! 東芝経営に「救世主」は現れるのか?

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   株主総会で会社提案の取締役選任案が一部否決される――。東芝はまさに前代未聞の異常事態になった。東芝の経営は、株主から「ノー」を突きつけられ、混迷から迷走ともいえる先行きが見えない状況に陥った。

   2021年6月25日に開かれた東芝の株主総会は、社外取締役だった永山治・取締役会議長(中外製薬名誉会長)と、監査委員会の委員だった小林伸行氏(公認会計士)の2人の取締役再任が否決された。信任票は永山氏が44%、小林氏は25%にとどまった。

   77%の信任を受けた綱川智社長ら9人が承認されたが、このうち新任のジョージ・オルコット氏(投資銀行出身)は、総会直後に辞任した。

  • 東芝経営「視界不良」……(写真は、東芝本社に近い東京・浜松町周辺)
    東芝経営「視界不良」……(写真は、東芝本社に近い東京・浜松町周辺)
  • 東芝経営「視界不良」……(写真は、東芝本社に近い東京・浜松町周辺)

経産省の介入問題がトドメ!?

   ここに至る経緯は、J-CASTニュース、会社ウォッチでも「混迷続く東芝、『過保護』の実態が明るみに 経産省が『物言う株主』に圧力」(6月21日付)など繰り返し報じてきたので、詳しくは参考にしてほしいが、今回、永山氏らの再任が否決された原因は、2020年7月の株主総会での「経済産業省の介入」問題だ。

   筆頭株主(保有比率約9.9%)である旧村上ファンドの流れをくむ「エフィッシモ・キャピタル・マネジメント」(シンガポール)など「物言う株主」が経営陣と対立するなか、経産省が一部海外株主の議決行使に圧力をかけ、エフィッシモ提案の取締役候補の当選を阻止したという疑惑だ。

   エフィッシモの求めにより、21年3月の株主総会で選任された外部の3弁護士による調査報告(6月10日発表)で経産省の不当な介入があったと認定された(経産省は正当性を主張)。

   さらに問題なのは、20年の株主総会の運営について、東芝取締役会の監査委員会が21年2月、問題はなかったとの報告をまとめていたことだ。東芝は弁護士調査の内容を基本的に受け入れ、監査委員会の委員長だった太田順司氏(元新日本製鉄常務)と監査委員だった山内卓氏(元三井物産副社長)の2氏について、株主総会直前に取締役候補から急遽外すなどの異例の対応もし、株主の批判回避に必死だった。

   それもこれも、「混乱を最小限にとどめるため、ガバナンス(企業統治)の要にいる永山氏の再任だけは果たしたい」(東芝関係者)という狙いだった。永山氏も取締役会議長としての責任を問われる立場で、弁護士の調査報告の後、米経済紙とのインタビューで、問題解決のメドがつけば辞任を検討する考えまで表明していた。

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