生産性向上の動きは止まらない
これとは逆に、東京の本社勤務のまま沖縄の離島へ引っ越すというケースもさまざまな業界で現実になっているそうだ。河合さんは「コロナ禍が完全に終息して昔のような日常が戻り、全社員が出社できる状態が実現したとしても、生産性向上を明確にする働き方を進めるほかないのである」と書いている。
具体的にどうすればいいのか。40代、50代、60代と年代別マネジメント計画を立てよう、と呼びかけている。たとえば、50代は、自分の資産、人脈、スキルの棚卸しをすること、生活スタイルを断捨離すること、住宅ローンの返済を終わらせることなどだ。
新しい生活様式と街づくりの項目を読み、ハタと思い当たるところがあった。「住む街を通勤の利便性で選んではいけない」とある。テレワークで地元にいる時間が増え、地元に何があり、何がないかを痛感した人も多いだろう。
まして、老後はずっと同じ街で暮らすことになる。現役時代に通勤に便利だと選択した街が住みよい街である保証はどこにもない。さまざまな「住みたい街」ランキングが発表されるが、東京から30~40キロ圏内で、ある程度の規模を持つ神奈川県の厚木市などの名前が上位にあるのを見ると、すでにコロナ後を見据えた住まい選びが始まったのだろう。
個人的には70歳まで週3日働ける「マイルド就活」をしよう、という提案がもっとも納得できた。部分的に実践しているからである。コロナ禍で不安に生きている、すべての人の参考になるだろう。
「コロナ後を生きる逆転戦略」
河合雅司著
文藝春秋
924円(税込)