戦略的に転換した富士フイルムとオリンパス
戦略的に縮むことを実践した企業の例として、富士フイルムとオリンパスを挙げている。富士フイルムは撮影という事業分野から画像診断の技術を進めて医療機器に進出し、ヘルスケア事業を展開している。またオリンパスはカメラメーカーの技術を活かし、世界一の内視鏡の会社になった。
このほかに化学メーカーに変身しようとしている大日本印刷や医療分野に進出したグンゼを挙げている。大企業だから変身が可能だったわけではない。世界シェアトップクラスの中小企業は少なくない。
いくつかの手法を提案している。「自社だけで変われないなら、M&Aや他社との連携も視野に入れよ」「稼げない事業を縮小して外注できる業務を洗い出せ」「高齢者向けの新商品を開発して海外に売っていこう」などだ。
「日本から始まる少子高齢化の波が世界中へ広がっていくことを考えると、ここに新しいビジネスの芽がある。アンチエイジング事業は盛んだが、老いとどう向き合っていくのかという技能・技術は全然足りていないからだ。他国より早く高齢化が進んでいる日本には、他国に先駆けるビジネスチャンスがあるはずなのだ」
個人はどうなるのかに関心が高い人も多いだろう。ショッキングな見出しが並ぶ。「コロナ禍を口実にした黒字リストラに気をつけよう」「コロナ禍で減った残業代は戻らず、今までのような賃金上昇は見込めない」などだ。
テレワークで働き方も変わった。SOMPOひまわり生命保険は2021年4月から、地域限定で採用した社員を転勤なしで本社へ異動させる制度をスタートさせたことを紹介している。
テレワークのまま、引っ越しも出社もない人事異動だ。地方から経営企画部や営業企画部へ移った11人は全員女性だという。