「五輪貴族」同様に優遇されている報道陣
ここで、東京五輪・パラリンピックの取材について、海外メディアがどのような行動制限を受けることになっているか、おさらいしておこう。行動ルールを定めたプレイブック(第3版)「プレス」によると、7月1日以降の順守項目はこうだ。
(1)入国の際、陰性検査証明書を持参。
(2)スマートフォンに健康情報管理システムをダウンロードして、インストールする。また、スマホの位置情報(GPS)もオンにして行動がわかるようにする。
(3)入国後3日間は自室で隔離しなければならない。しかし、毎日検査して陰性であることと、GPSによる厳格な行動管理に従うことを条件に、入国日から取材活動を行ってもよい。
(4)取材先などを明記した行動計画書と、ルールに従う誓約書を提出する。また、日本滞在中の濃厚接触調査対象者リストを作成する(取材チームメンバー、ルームメイトなど)
(5)宿泊は組織委が用意したホテルなどに泊まる。移動の際は大会専用車両を使う。また入国後14日間は、公共交通機関の使用を認めない。
(6)取材に際してはマスクを着用、ソーシャルディスタンスを守る。
(7)競技以外に、観客や市中を取材することは認めない。散歩したり、観光地、ショップ、レストラン、バー、ジムなどに行ったりすることも禁止。
(8)違反した場合は、制裁措置として取材資格のはく奪、国外退去などを命じる。
などといった、一見厳しいものだ。
しかし、「抜け道」はあるもので、じつは海外メディアは「五輪貴族」といわれる「IOCファミリー」と同等の特別待遇扱いを受けているのだ。
朝日新聞(6月24日付)「五輪ファミリー『特別扱い』 個室なら入国後すぐ外食も」が、こう伝える。
「東京五輪のために来日するIOC委員らの行動ルールを定めた『プレイブック』で、入国後14日間以内であっても個室のある飲食店で食事をすることが認められていることが、立憲民主党のコロナ対策本部で指摘された。同党は『五輪の特別扱い』で感染が拡大しかねないとみて、見直しを要求した」
IOCと組織委は、6月15日にプレイブック第3版を公表した。表記は英語で、IOC委員や家族など「五輪ファミリー」、報道関係者らについては、できるだけホテルのルームサービスや用意された食堂を利用すると記した。ただし、利用できない場合には、コンビニなどで食べ物を買う、あるいは感染対策をした個室のあるレストランで食事を取ってもよい、としている。これでは二重基準だ。つまり、海外からの報道陣も「五輪ファミリー」と同等の扱いを受けているわけだ。
(福田和郎)