強まる暗号通貨への規制と変遷(慶応義塾大学 1028)
◆ 今週の気になったニュース
先々週、エルサルバドルでの暗号通貨の法定通貨化について、国の事情などを通じて伝えましたが、今週はアフリカ東部の国、タンザニアで動きがあったようですね。
タンザニアは、2019年に中央銀行によってビットコインの使用が禁じられていましたが、大統領の意向で使用の容認が検討されているそうです。やはりエルサルバドルと似たような事情があるのでしょうか。
これと反対に規制を強め続けているのが、ビットコインの地理的の採掘シェアの6割を占める中国です。その影響か、ビットコインはついに一時3万ドルを割ってしまいました。
中国がこのように規制する理由は主に二つ。一つは、ビットコインをはじめとした暗号通貨がその性質上、価値が安定しくいため安全性が低く、政府からしてもアンコントローラブルな代物であるということです。しかし、見方を変えればそれが暗号通貨の利点でもあるので、難しいところですね。
もう一つは、環境に負荷をかける原因になるということです。暗号通貨取引の承認には複雑な計算が必要で、これをマイニング(発掘)といいます。このマイニングに多くの電力を必要とするため、結果的にCO2(二酸化炭素)などの排出のきっかけになってしまうわけです。将来的なCO2削減を掲げている中国にとっては面白くない話です。
すでに中国では、一部のマイニング拠点への操業停止の要請がなされているそうです。下手をすると取引自体が停止されるのではないかという見込みも......。かなりの逆風ですね。
では、中国に居るマイニング業者たちは今後どうするのでしょうか?答えは新天地への移転です。アメリカのテキサス州では、IT企業の税制優遇誘致が行なわれているので、その新天地として期待されています。テキサス州は天然ガスが豊富で、アメリカ全体の中でもかなり電力代が安いというメリットがあります。さらに風力発電の割合が高いため、環境問題への配慮にもなるわけです。
今後、テキサス州がマイニングに対してどのような反応を示すかはわかりませんが、中国での規制をきっかけとして、暗号通貨事業の変遷が起こっているといえるのではないでしょうか。
韓国でも同様に暗号通貨への反発が起こっています。韓国の交換業者は、暗号通貨の取引を整備することを目的に、取り扱う暗号通貨の種類を大幅に減らしました。
もともと韓国では中国や日本よりも多くの暗号通貨を取り扱っていることが特徴でした。そのため、韓国の投資家たちや暗号通貨業者からは戸惑いの声が上がっているようです。
そして、韓国の暗号通貨業界もまた、アメリカへの移動を進めているようです。
規制が緩まる場所もあれば、強まる場所もあり......といった感じで、暗号通貨を取り巻く環境は絶えず変遷しているといえそうです。
◆ 児山将のワンポイントアドバイス
かつてマイナーの拠点は中国でしたが、それがアメリカになりつつあります。
大手マイナーのビットメインは、すでに中国でのマイニングから撤退しており、アメリカやカナダに移動しています。ナスダックには、マラソンパテントやライオット・ブロックチェーンなどが上場しているため、上場準備をしているビットメインをはじめ、数年後には中国資本のマイナーが上場するかもしれません。
さて、エルサルバドルでは政府によるウォレットがリリースされました。ダウンロードすると30ドル相当のビットコインが付与されるそうです。現在は、国民の8割程度が法案施行後もドルのみを使うとされているようですが、実際に利用される人が増えることで、この数字がどう変化するのか気になるところです。まさに世紀の実証実験といえそうです。
保有する暗号通貨 ビットコイン
前週からの損益 マイナス2円
6月25日現在 1万5円
◆ 取引をお休みしました(明治大学 akiさん)
前週からの損益 プラス・マイナスゼロ
6月25日現在 9625円
◆ 児山将のワンポイントアドバイス
この週の個人的に気になった仮想通貨関連ニュースをまとめておきます。
CNBCが仮想通貨投資企業のビットワイズの資金調達にソロスの右腕ドラッケンミラー氏や世界最大のヘッジファンドであるブリッジウォーターのCEO(経営最高責任者)、レイ・ダリオらが参加ようです。また、FOX TVはNFTに1億ドルもの投資を行うと発表。さらに、モルガンスタンレーの新規BTC(ビットコイン)ファンドの申請や、10億ドルの新株発行により、BTCを購入する計画が話題となりました。
◆ 大学対抗 1万円からはじめる暗号通貨バトルのルール学生投資連合USIC
・元本は1万円です。
・投資する暗号通貨の選定は自由です。ただし、国内で購入できる暗号通貨に限ります。
・レバレッジは、かけられません。
・20%を超えて下げた場合は、強制的に取引を停止(ロスカット)します。
・元本割れは1回まで。リベンジ(再投資)可能ですが、2度、資産(合計で2万円分)を失った場合は、その時点でリタイアとなります。
・順位は、11月26日時点の運用損益で決めます。
「学生の金融リテラシー向上」を理念に全国26大学1000人以上で構成。企業団体・官公庁との勉強会の開催、IRコンテストの運営、金融情報誌「SPOCK」を発行する。
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