国歌の歌詞は血なまぐさい
各国の国歌の歌詞の中には、極めて血なまぐさいものがあることはよく知られている。たとえば、フランスの国歌「ラ・マルセイエーズ」。
「開け 戦場にあふれるおびえた敵兵たちの叫びを
彼らは我らが陣地に攻め入り
子どもたちや妻の喉を掻き切ろうとしている
市民たちよ 武器を取れ!」
アメリカの国歌「星条旗」の中にも、こんな一節があるという。
「危険きわまりない戦闘の最中にも
我らが死守する砦の上に 星条旗は
雄々しくひるがえっていただろうか?」
近代国家の多くの国歌が、国の原点や原風景を明確に語っているのに対し、日本の「君が代」は、『古今和歌集』の古歌から明治になりつくられたものだ。「我々日本人が固有のアイデンティティであると論理的に紐付けし、感情移入することは容易ではありません。往々にして古代史にありがちな堂々巡りの議論に終始する傾向が見受けられます」として、来歴の違いが国歌への受け止め方の差になっている、と指摘する。