2016年夏に発売された「はじめての人のための3000円投資生活」(アスコム)は、翌2017年の日販・ビジネス書部門の年間ベストセラー1位となり、これまでに60万部売れた。
その同じ著者が、5年ぶりに出したのが本書「貯金感覚でできる3000円投資生活デラックス」である。前著と比べて読み、タイトルどおり、確かにパワーアップしたような気がした。
「貯金感覚でできる3000円投資生活デラックス」横山光昭著(アスコム)
投資信託への不安
著者の横山光昭さんは家計再生コンサルタント。個別の相談・指導では独自の貯金プログラムを活かし、リバウンドのない再生と飛躍を実現し、これまで1万人以上の赤字家計を再生したという。「はじめての人のための3000円投資生活」のほかに、「年収200万円からの貯金生活宣言」「貯められる人は、超シンプル」などの著書がある。
「毎月3000円投資信託を買い続けよ」という主張は変わらない。前著が多くの読者の支持を受けた理由を考えた。思うに毎月3000円というのがお手頃なのだろう。一日100円、ワンコイン。これなら毎日節約すれば、なんとかひねり出すことができそうだ。「投資生活」という言葉も響きもいい。毎日あくせく働いている訳だが、なんか偉くなったような気がする「投資生活」。
「3000円投資生活」をスタートさせるには、ネットもしくは証券会社の窓口で証券口座を開き、月々3000円の積み立て型の投資を始め、オススメの投資信託を買うだけだ。
前著ではバランス型の投資信託である「世界経済インデックスファンド」もしくは「eMAXIS バランス 8資産均等型」を勧めていた。だが、本書では「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」(楽天投信投資顧問)をイチ押ししているのが特徴だ。
この変化について、こう説明している。
「その時点(2016年7月)では、世界経済インデックスファンドが『簡単・安全・確実』な投資を行ううえで最適な商品だったのですが、2017年に、非常に信頼性が高く、コストの低い楽天・全世界株式インデックス・ファンドが発売されました」
ファンドマネージャーが管理・調整するバランス型ファンドの前者よりも、全世界の株式のみで構成されたインデックス(指標)に自動連動した後者の方が「ローリスク・ローリターン」であり、初心者に向いている、と説明している。
「投資信託を買って、損をした」という話をよく聞く。
横山さんは「実際、ハイリスク・ハイリターンな投資信託、高い手数料を取っているわりには利益が低い投資信託、目先の流行に乗っただけの投資信託(好調なのは最初の数年だけで、あとは損するばかり)の投資信託なども、世の中にはたくさんあります」と書いている。
楽天・全世界株式インデックス・ファンドは、楽天投信投資顧問とアメリカの投資運用会社バンガード社が提携した商品であること、信託報酬を含むトータルコストが約0.22%(2019年8月時点)と、相場からすると非常に安いことを説明している。