資源開発大手のINPEXの株価が連日、年初来高値を更新している。原油価格の上昇で収益改善への期待が高まっているためだ。
脱炭素への取り組みを強化する最近の動きも株式市場から評価されている。
筆頭株主が政府の国策会社
INPEXの株価は2021年6月24日に前日終値比26円(3.1%)高の868円まで上昇。3月8日につけた今年の最高値865円を上回った。さらに翌25日には892円まで値を上げ、週明け28日にも897円と続伸し、3日続けて年初来高値を更新した。
アルファベットが並ぶどうもなじみのない社名だなという方もおられよう。どういう会社か確認しておこう。
石油や天然ガスの探鉱・開発、またその生産・販売を手がける国内で最も大きい企業。1941年設立の「帝国石油」、1966年設立の「北スマトラ海洋石油資源開発(後の国際石油開発)」が2006年に経営統合して「国際石油開発帝石ホールディングス」となり、「国際石油開発帝石」への組織変更を経て2021年4月にINPEXに社名変更した。
東証1部上場企業ではあるが、エネルギー資源を日本にもたらすための国策会社でもある。筆頭株主は政府(経済産業相)で、2020年12月末現在、発行済み株式の18.96%を所有する。
インドネシア、中近東、米州と世界各地で活動しており、最近ではオーストラリアの液化天然ガス(LNG)プロジェクト(2018年完工)が投資回収期に入った大きな事業。コロナ禍による需要減と油価下落で2020年12月期の連結最終損益は1116億円の赤字(前期は1235億円の黒字)だった。
原油価格と需要の回復により、2021年12月期の連結最終利益は1400億円(5月13日に400億円上方修正した)を見込む。