中国の本当の危機とは? エコノミストが特集
「週刊エコノミスト」(2021年7月6日号)の特集は「日本人が知らない 中国本当の危機」。中国共産党が結党100周年を迎え、習近平政権の盤石ぶりが伝えられる中国だが、急速な少子高齢化に加え、各種の締め付けで社会の活力が削がれつつあるというのだ。
中国社会で、日本語に直すと「横たわり族」という若者の集団が話題になっているという。仕事や結婚、出産を拒否し、「常に横たわっている」若者たちのことだ。背景には、仕事が不足し、就職しても不動産バブルによる地価上昇、教育費の異常な高騰で、家を買い、子供を持つことは、かなわぬ夢となった無力感があるという。
有効率が5割とも言われる中国製コロナワクチンが中国発のリスクになりかねないことや原材料高が「世界の工場」と言われる中国を直撃し、中小企業は赤字になっている現状をレポートしている。
近藤伸二・追手門学院大学教授は、「習近平国家主席が『偉大な指導者』になるには、台湾統一が不可欠だが、有事勃発なら中国経済も壊滅的な打撃を受ける。習氏のジレンマは深い」と指摘している。
このほか、「アフターコロナを見据える 地方復活のシナリオ」と題した、星野リゾート代表の星野佳路氏と地域エコノミストの藻谷浩介氏の対談も興味深かった。
星野氏は緊急事態宣言が出ていた2020年4、5月に営業していたことに対してバッシングを受けたことが大変だった、と語る。そのために「倒産確率」を公表、社員のコメントに勇気づけられたとも。
藻谷氏の「インバウンドはコロナ前の水準に戻ると思いますか」という質問に対し、「必ず戻ると思います。ニーズがしっかりあるからです」と答えている。
また、ワーケーションを一時のブームに終わらせないようにしないと、と話す。需要の平準化によって地方の観光力が増すからだ。「消費者にとっても料金が大きく下がり、渋滞がなくなり、予約は取りやすくなります」と説明する。
コロナが地方の観光にとって転換点になるかもしれない、という指摘に共感した。