SDGs企業ランキング1位はオムロン、週刊東洋経済が大特集

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   「週刊東洋経済」「週刊ダイヤモンド」「週刊エコノミスト」、毎週月曜日発売のビジネス誌3誌の特集には、ビジネスパースンがフォローしたい記事が詰まっている。そのエッセンスをまとめた「ビジネス誌読み比べ」をお届けする。

   6月28日発売の「週刊東洋経済」(2021年7月3日号)は、「SDGs 日本を代表する500社」と題した特集を組んでいる。

   サステナビリティが企業にもたらす課題を検証するとともに、各企業の取り組みを紹介している。非財務情報が満載で、担当者は必読の内容だ。

  • 週刊東洋経済は「SDGs」を大特集!
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SDGs企業ランキングは初公表

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「週刊東洋経済」2021年7月3日号

   SDGs企業ランキングは初公表だ。サステナビリティを判定する「非財務情報」4カテゴリー、つまり人材活用、環境、社会性、企業統治を90項目で点数化し、上位500社までを掲載した。

   東洋経済新報社は「CSR企業総覧」という刊行物を発行している。その調査データからSDGsの取り組みに関する90項目を評価対象とした。同社オリジナルのランキングである。

   1位はオムロン。分野別では環境、企業統治が1位、社会性は3位といずれもトップクラスだ。ESG・サステナビリティ分野の責任者は、立石文雄会長が自ら務める。中期経営計画にSDGsの取り組みを連動させ、社会貢献活動に関する支出額は8.7億円に達する。環境面も先進的で、2050年度に自社購入の電気も含めた温室効果ガスの排出をゼロにすることを目指している。

   2位はSOMPOホールディングス。企業統治1位、人材活用6位、社会性9位とトップクラスだ。経営理念実現のため、SDGsを踏まえたCSR重点課題に取り組む。インドやインドネシアなど世界各地で活動を行っている。

   3位はJ.フロント リテイリングと大和証券グループ本社の2社。5位は東京海上ホールディングス。6位TOTO、7位丸井グループ、日本生命保険と続く。

   財務評価を加えていないので、財務規模では劣る13位ファンケル、15位アズビルといった中堅上場企業も上位に入っている。

   トップになったオムロンの立石文雄会長は、会社の憲法にあたる「社憲」が「われわれの働きで、われわれの生活を向上し、よりよい社会をつくりましょう」というもので、「事業活動を通じて社会的課題を解決することがサステナビリティに結びつくので理解しやすい」と語っている。

   また、2020年度はCO2削減目標の(16年度比)4%削減を大きく上回る50%削減を達成した、と環境面での取り組みを強調している。脱炭酸目標の前倒しも視野に入れている。非財務価値は、この10年で5.8倍となり、今年からは有価証券報告書や決算短信でも非財務情報の開示をしていく、としている。

   テーマ別のランキングも掲載している。ダイバーシティ(人材活用)を示す女性部長比率ランキングでは、化粧品メーカーのシーボンが66.7%で1位になった。もともと女性従業員比率の高い企業が並んだ。SDGs企業ランキングの100位以内企業はわずか6社に過ぎず、「名だたるSDGs大手企業としては依然課題の残るテーマだ」と書いている。

   脱炭素の取り組みでは、炭素利益率(ROC)という指標を採用した。利益を温室効果ガス排出量で割ったものだ。数値が高ければ今後、炭素税などが導入されても利益面で余裕があることを示す。ランキングでは1位伊藤忠商事、2位住友商事、3位双日など大手商社が上位に並んだ。

   面白いと思ったのは、生物多様性保全支出額ランキングで、スズキが圧倒的な金額(523億円)でトップになったことだ。浜松市の「スズキの森」での植林や下草刈りの実施。製品の燃費向上や排気ガスの低減などの取り組みが大きなポイントになったようだ。

   ジャーナリストの国谷裕子さんはインタビューで、「地球のサステナビリティを取り戻せるかどうかの分岐点がこの10年間だ」と話す。また、慶応義塾大学大学院の蟹江憲史教授は「日本の企業は危機感が足りない。まず目標を設定せよ」と強調している。

   ランキングの各部門のトップになった企業も以下のようなコメントを寄せている。

   「脱炭素型への転換は成長戦略だ」(J.フロント リテイリング)、「サステナビリティと財務は両輪」(帝人)。SDGsが企業の経営戦略に欠かせない、大きな課題であることを印象づける特集だ。

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