【6月は環境月間】丸太がそのままバイオマスのエネルギープラントに運ばれている!

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なぜ日本ではバイオマスがうまくいかないのか

   含水率の低いヨーロッパの木と違い、日本の杉は200%を超えることもある。おが屑ならまだしも、水分たっぷりの杉の丸太を利用するには乾燥させなければならない。そのために大量のエネルギーが使われるという本末転倒な事態が起きている。

   大型のバイオマスプラントは大量の資源を必要とするため、原料を外国から輸入しているとこともあるという。FITが終わるとどうなるかという議論も起きている。「我が国でも当初からFITの期間だけ、儲けるだけ儲けて辞めるという業者もいる。木を伐ると補助金が貰え、売る際にはFITでお金が貰える。20年保証の官製ビジネスが出来上がってしまった」と書いている。

   さて、お先真っ暗なように思える日本の林業だが、白井さんは「伝統木造」の見直しに光を見出している。法隆寺や厳島神社、出雲大社などは「伝統木造」で建てられたものだ。現在、日本で「一般的となった木造」とは「在来木造(在来工法)」と呼ばれるもので、まるで別物なのだ。

   使う木材も違う。伝統木造が丸太や製材など天然乾燥木材を多く使うのに対し、在来木造では、人工乾燥木材のほか、合板、集成材など木質系工業製品を多く使う。

   「伝統木造」を建築しようとすると、建築基準法が定める「仕様規定」というルールを随所で破ることになり、ほとんど建てられない。しかし、さまざまな実験で耐震性も検証され、地震に強い木造(構法)であることがわかってきた。

   補助金に頼らず自力で森林を守る事業体があることにも触れている。適正な価格で木材が取引されるようになると、日本の林業も生き残れるかもしれない。現場の都合から制度を設計し直すことを強く求めている。

   いま放送中のNHKの連続テレビ小説「おかえりモネ」には、森林組合で働くヒロインが登場している。森林の持つ役割が多くの人に理解され、日本の林業が生き残ることを期待したい。(渡辺淳悦)

「森林で日本は蘇る」
白井裕子著
新潮社
792円(税込)

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