みなさん、こんにちは。馬医金満です。
東芝のCVCキャピタル・パートナーズがかかわる買収の報告書が公表されて、それがなかなか衝撃的な内容だったので思うところを書いてみました。
東芝と経済産業省が一体となって、少数株主の株主提案権の行使を妨げようと画策したり、一部の外国株主に不当な圧力をかけたりしたと指摘した調査報告書について、2021年6月14日には永山治取締役会議長(中外製薬名誉会長)が記者会見を開いて、「監査役のけん制機能が働いていなかった。コンプライアンス意識が欠如していたと言わざるを得ない」と、混乱する経営状況を陳謝しました。
米ファンドに議決権を行使しないよう説得していた
まず、一番重要だった点は、東芝が望んだかどうかは別として、結果として経産省の役人や参与と結託して株主である米国のファンド(特にハーバード基金)に対して議決権を行使しないよう説得していたことです。
調査報告書によると、2020年の株主総会前の5月から6月にかけて、東芝幹部と協議を続けながら経産省商務情報政策局情報産業課長らが、エフィッシモ・キャピタル・マネジメントに対して株主提案を取り下げるように働きかけていたといいます。
その際に言及されていたのが「外国川及び外国貿易法」です。安全保障の見地から、外国人投資家による企業買収を厳しく規制する改正外為法が施行されたのは2020年5月のことです。エフィッシモをめぐる騒動は、その直後に起こりました。調査報告書によれば、エフィッシモの提案に、この外為法に基づく措置が取られる可能性があることを経産省の関係者が示唆したといいます。
東芝が防衛産業も手がけているため、外為法の範囲内という反論も間違ってはいないと思いますが、買収提案の中では一部セグメントのみの買収という提案もあったので、その点は限りなく黒に近いグレーな気がします。
また、その交渉の段階においても、経産省と政府側が越権行為ともとらえ得る動きをしていたことが明らかになっています。
今までも日本のコーポレートガバナンスが遅れているという議論はよくあったように思うのですが、今回の一件は政府まで関与していたという点において、かなり杜撰な出来事だったな、と思っています。
今後、海外のアクティビスト(物言う株主)が、日本のコーポレートガバナンスを危惧して資金を引き揚げるということになると、日本の株価がまた全体的に落ちてしまうことにもなりかねないと思うので、抜本的な改革を行う必要があると考えています。
では、また!(馬医金満)