その昔「埋蔵金と仕分け」の夢を見たっけ...「消費減税」野党の大連立はまたも立憲民主に裏切られる?

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エコノミスト「野党第一党らしい責任を持て」

   野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏は、リポート「動き出した国内政局と追加経済対策」(2021年6月16日付)の中で、こう指摘する。

「野党第一党の立憲民主党の枝野代表は、次期衆院選で政権を獲得した場合に、新型コロナの経済対策として、消費税率を時限的に5%に引き下げると主張している。その他にも、年収約1000万円以下の個人を対象に所得税を実質免除し、低所得層に現金を給付する考えも示している。
コロナショックへの対応で消費税率を時限的に引き下げた例は、ドイツなどにみられる。しかし、仮に日本で消費税率を引き下げれば、簡単に元の水準に戻すことが難しいことは、今までの税率引き上げの長い歴史を見れば誰の目にも明らかだ。
それは、すでに相当脆弱な日本の税収基盤を一段と損ねてしまう。消費税率1%あたり2.8兆円の税収に相当するから、5%引き下げられれば、年間14兆円もの大幅な税収減となる。その分を国債発行で賄えば、国債発行残高の増加ペースは一段と高まり、また歳出削減で賄えば、社会保障サービスが急激に悪化する」
「消費減税」で煮え切らない姿勢の枝野幸男・立憲民主党代表(同党公式サイトより)
「消費減税」で煮え切らない姿勢の枝野幸男・立憲民主党代表(同党公式サイトより)

   さらにこう批判する。

「消費税率の時限的引き下げはかなり問題がある。そもそも枝野代表は今年5月に出版した新著『枝野ビジョン』の中で、『消費減税がコロナ禍による消費減少に対する直接的な対策になるのは、かなり難しい』と慎重姿勢を示していた。今回は、消費税率引き下げを掲げる共産、国民民主に同調することで、消費減税を衆院選で野党共闘の旗頭とする狙いがあるのだろう。しかし、野党共闘の旗頭とするのであれば、もっと責任のある主張を掲げて欲しい」

   そして、枝野氏にこう呼びかけた。

「今、政府に求められるのは、適切な所得再配分だ。コロナショックで打撃を受けた企業、労働者、家計を支えるコストは誰が負担するのか、というのが重要な点だ。巨額の財政支出を国債発行で賄い続けて、コロナ対策のコストの多くを将来世代に押し付けるのは、世代間公正の観点から望ましくない。そればかりか、将来の需要を先食いして、中長期の成長期待を押し下げ、経済の潜在力を損ねてしまう。
政権交代を掲げる野党には、適切なコロナ対策の中身に加えて、コロナ対策のコストを誰が負担すべきか、という議論も中核に据えて、与党と正面からぶつかっていって欲しいところだ」

   一方、木内登英氏とは逆の視点、つまり消費減税を望む多くの国民の期待を裏切るなという立場から立憲民主党を叱咤するメディアもある。

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