イーロン・マスク発言にイライラする職業大学校、慎重を期す明大と同志社大(第4節)【暗号通貨バトル Aグループ】

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   米テスラのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)のツイートが大きな反響を呼び、ビットコイン(BTC)相場は一時、凄まじい値上がりをみせた今週(2021年6月13日週)。その動きに、職業能力開発総合大学校のさっちんがイライラしている。ふだん、あまりTwitterを見ないからだ。

   一方、マスク発言で揺れるビットコイン相場に、明治大学の城正人さんと同志社大学のしがないトレーダーさんは静観の構え。相場分析に力を注ぐ。

  • 果敢に攻める職業大学校のさっちん
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「DeFi」にひと波乱!(明治大学 城正人さん)

   最近ビットコイン(BTC)はレンジ入りして3万~4万ドルを上下しています。一方、イーサリアム(ETH)は一たん底を打ち、上昇基調に入ったかと思われました。しかし、2021年6月15日につけた高値を更新できず、ジリジリと下げる局面に突入しました。

   週半ばまでは取引しようと思っていたのですが、想定外のニュースが飛び込んできたため、DeFi(ブロックチェーンによる分散型金融)に関する通貨への投資は、今週(6月14日週)は厳しいなと感じて取引しませんでした。

   今週、最もホットな話題であった「IRON Financeの崩壊」、そして私がなぜ急にDeFi関連銘柄への投資を見合わせたのかについて、解説していきます。

   まず、暗号資産は一般に価格変動が大きいという指摘があります。そこで、暗号資産に関わる技術の提供する「便利さ」と法定通貨の「安定性」これらの性質を組み合わせたものとして、「ステーブルコイン」があります。

   代表的なものでは米ドルの価格と連動するように設計されたUSDC(1USDC=1米ドル)やUSDT(1USDT=1米ドル)、DAI(1DAI=1米ドル)などがあります。価格を連動させるためにはその裏付けとなる資産が必要なわけですが、たとえば世界中で広く使われているUSDTを例に用いると、先日、USDT発行元であるTether社はその裏付け資産の構成比率を公開しました。

   結果としてIRON Financeは崩壊してしまったわけですが、ここで発行されるIRONもドルに連動するステーブルコインの一翼を担うことを目的としていたと思われます。

   前述したようにUSDTやUSDCには管理する発行体があり、発行体が価値担保としての資産を持つことでステーブルコインの価格連動を実現しています。一方、IRONでは発行体はおらずそこにあるのはコンピュータプログラムです。管理者はおらずプログラムによってドルとの価格連動を実現します。このような中央管理者の居ない金融システムのことをDeFi(分散型金融)と呼びます。

   IRON FinanceはUSDCと独自トークンのTITAN(ステーブルコインの一種)を混ぜ合わせることでIRONというドルと同等の価値をもつ暗号通貨を製造しようとしたのです。これらの特徴から「現代の錬金術」などともてはやされました。

   しかも、生成されたIRONをうまく運用することで数百パーセントの高利回りを実現することができたため、高利回りに惹かれて多くの人が参入し最盛期には数千億円の資産が預け入れられていました。

   もちろん独自トークンのTITANには元は何の価値もありませんがIRONの生成にはTITANが必要になるため、IRON需要の高まりとともにTITANの価格も上昇していったのです。

   その後、ついにIRON Financeは崩壊しました、一時50ドルを超えた価格をつけていたTITANですが、価格は6000万分の1まで下落、お祭りも終焉を迎えました。

   崩壊の原因は諸説ありますが、そもそも何の価値もないTITANという独自トークンを混ぜものにし、あたかも裏付け資産があるように振る舞うステーブルコインです。いつかはこうなる運命だったのでしょう。また、私には信用の低い資産を混ぜ合わせあたかも価値が高いように見せかけたサブプライムローン問題を彷彿とさせるところがありました。

   私がなぜDeFi関連銘柄への投資を中止したかという根拠については、今回のIRON Finance騒動がDeFiへの不信感、疑念を抱かせるのではないかと懸念したからです。重なるところがあると考えたサブプライムローン問題の引き起こしたリーマンショックでは影響が世界に及びました。影響がリーマンと同じというわけではありませんが、まだまだ未成熟なDeFi業界にとってかなり大きな試練となるのではないかと考えたからです

◆ まとめ
   今回の件でDeFiのプロジェクトがだめになるのかというと一切そのような懸念はしていません。使いやすく便利なDeFiプロジェクトは多数あります。しかし中にはIRONの様な脆弱性を有するプロジェクトもあります。最初の回で述べたように、「本質」を見極めながら投資すべきと言えるのではないでしょうか。
   取引なし。

   ◆ 児山将のワンポイントアドバイス
TITANの急落は仮想通貨業界で大きな話題となりました。特に、日本人の中には有名インフルエンサーや税理士の方が「現代の錬金術」というキーワードでツイッターに発信していたことから保有している人も多かったようです。
そもそも、何かとペッグ(固定相場)させるステーブルコインというような仕組みは歴史的に難しいことが証明されています。1990年にドイツマルクと一定の交換比率であった英ポンドは、景気悪化によりイングランド銀行がどれだけ介入しても価格を維持できずにESM(欧州通貨制度)を脱退することとなりました。
早期に日本円のステーブルコインを開発した発行体もうまくいっておらず、利用者の信頼を得て価格を維持することは非常に難しいのです。バイナンスなどの大手交換業者に上場しているならともかく、QuickSwapという一つの分散型取引所での取引しかないアルトコインでした。そのため、リスクが非常に高いことが露呈していたものの、最悪ともいえる結末になってしまったといえます。

前週からの損益  プラス・マイナスゼロ
6月18日現在          1万円

明治大学 城正人(じょう まさと)
明治大学 城正人(じょう まさと)
経営学部2年。明治大学投資サークルBreakouts!に所属。暗号資産が今後の社会に与える影響に魅力を感じ手当たりしだい勉強中。これまで暗号資産のトレード経験はほぼなくETH(イーサリアム)ガチホを続けてきました。ポテンシャル、技術の面を中心にそれぞれの通貨の特徴を見極めて投資していきたいと思います。
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