「大塚家具」の名前が消える!? ヤマダHDが完全子会社化 久美子元社長は何を思う......

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   大塚家具が2021年9月1日付でヤマダデンキなどを展開するヤマダホールディングス(HD)の完全子会社となり、上場廃止されることになった。

   お家騒動で世間を騒がせ、経営不振に陥り、ヤマダの傘下に入っていたが、再建の見通しが立たないなか、大塚家具は経営の独立性を完全に失い、名称存続さえ危ぶまれる事態に追い込まれた。

  • 「大塚家具」の名前が消える?(写真は、東京・新宿ショールーム 2015年2月撮影)
    「大塚家具」の名前が消える?(写真は、東京・新宿ショールーム 2015年2月撮影)
  • 「大塚家具」の名前が消える?(写真は、東京・新宿ショールーム 2015年2月撮影)

資本・業務提携で久美子社長は「延命」も......

   完全子会社化は株式交換方式で実施。ヤマダホールディングス(HD)は、大塚家具の株式の51%を保有するが、残る49%について、大塚家具1株に対して、ヤマダHD株0.58株を割り当てる。7月29日に開く予定の大塚家具の定時株主総会での承認を経て、大塚家具は8月30日付でジャスダック市場の上場が廃止となる。

   近年の大塚家具のたどった道を振り返っておこう。2014年、創業者の大塚勝久氏が娘の久美子社長を解任し、会長だった勝久氏が社長を兼務したことで「お家騒動」が勃発。株主を巻き込んでのプロキシファイト(議決権争奪戦)の末、久美子氏が2015年に社長に返り咲いた。

   会員制・マンツーマン接客による高額品路線の継続を求める勝久氏に対し、低迷する業績回復には会員制をやめ、来店しやすい店づくりで売り上げ増を目指す久美子氏――という路線対立だった。

   しかし、久美子社長の下、業績回復は遅々として進まなかった。ニトリやイケアなどが消費者の低価格志向をつかんのに対し、大塚家具の立ち位置は「高級品なのか、低価格品なのか、どっちつかず」で、売り上げは回復せず、2016年12月期から最終赤字が続いた。

   外部からの資金支援を得ようとするなど迷走の末、2019年2月にヤマダHDと業務提携。同年12月にはヤマダが大塚家具に43億円を出資して株式の51%を取得し、ヤマダの子会社として再建を目指した。

   久美子社長は続投したが、業績悪化に歯止めがかからず、2020年12月に社長と取締役を引責辞任し、ヤマダの三嶋恒夫社長(当時は大塚家具会長兼務)が大塚家具社長を兼務して今日に至っている。

   それから半年余りでの今回の完全子会社化決定は、大塚家具の業績を見れば、意外とは言えない。2021年4月期決算は、最終損益が23億円の赤字(前の期は16か月の変則決算のため同期間では60億円の赤字)と5期連続の赤字。決算書には企業の存続が懸念される「注記」(ゴーイングコンサーン)が引き続き記載されている。

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