空港で見つかった陽性者の濃厚接触を調べない検疫所
もう一つの大問題は、ウガンダ選手団が1人の陽性者を空港の検疫所に残したまま、合宿所の大阪まで移動してしまったことだ。じつは外国人を受け入れる地域の保健所が調べるのが基本だが、東京五輪の場合のルールができていなかったのだ。
これには大阪府の吉村洋文知事も当初、自らのツイートで「なぜ成田空港の検疫所が濃厚接触者の確認もしないまま、移動を許してしまったのか」と驚いた。結果的にウガンダ選手団の濃厚接触者を調べることになった、大阪・泉佐野保健所の担当者も「濃厚接触者がいるかどうか、検疫所が判断すると思っていた」と頭を抱えたのだった。
東京新聞(6月22日)「濃厚接触者の認定、自治体任せ 東京五輪ウガンダ選手団に陽性者、他選手は大阪へ 野党『無策に等しい』」が、この混乱状況をこう指摘する。
「ウガンダ選手団に陽性者が発覚した問題で、各国選手団の中に陽性者が出た場合に濃厚接触者がいるかどうかは、政府による空港検疫ではなく、受け入れた自治体の保健所が確認することになっていることがわかった。6月21日に開かれた立憲民主党などの野党の合同会議で、内閣官房が明らかにした」
野党側は、内閣官房の担当者に、こう詰め寄った。
「濃厚接触者が疑われる選手は空港に留め置くべきだ。選手たちが機内で他の乗客と会話をしても不思議ではないし、入国後はバスの運転手や宿泊先の従業員らが選手と接することになる」
「濃厚接触者の認定を自治体に丸投げしており、ザルどころか無策に等しい」
などと指摘。
各国選手団の来日ラッシュが本格化するのを前に、コロナ陽性者との濃厚接触が疑われる選手は空港に留め置くことを求めたのだった。
しかし東京新聞によると、内閣官房側は、
「選手団は貸し切りバスで泉佐野氏に到着した。対応に問題はなかった」
と突っぱねた。
いずれにしろ、東京五輪まであと30日しかない。吉村知事は国が早急にルールを整備すべきだと強調したのだった。