エコノミストが「コロナで勝った負けた地銀」を大特集 東洋経済は「経済安保」【ビジネス誌 読み比べ】

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米中の板挟みになる日本企業

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「週刊東洋経済」2021年6月26日号

   「週刊東洋経済」(2021年6月26日号)では、国家の安全保障を、軍事力ではなく経済の面から実現する「経済安全保障」について特集している。軍民融合を掲げる中国の影響力が拡大、経済・科学分野での米中対立が激化。政府や民間企業にとって、経済安保が欠かせない時代になったという。

   経済安保論議に火をつけた自民党の甘利明・衆議院議員は「中国に情報を抜かれる前に企業は備えを」と話し、データセンターを日本国内に置くことを呼びかけている。

   一方、寺島実郎・多摩大学学長は「米中間の貿易総額は日米間のそれの3倍にも達している」と話し、デカップリング論に惑わされてはいけない、としている。

   板挟みになる日本企業。電機・半導体、自動車など6業種のシナリオを分析している。ソニーグループは昨年10月、半導体部門の営業利益見通しを大幅に下方修正した。原因は中国ファーウェイに対する米政府の規制強化だった。米商務省は19年5月にファーウェイを安全保障上問題のある「エンティティリスト」に登録。輸出規制がかかったのだ。

   米中摩擦が逆に追い風になっているのが通信業界だという。ファーウェイへの禁輸措置が浮上、NECや富士通など日本勢のチャンスが到来している。米国務省が20年8月、通信網から中国勢の排除を目的に発表した「クリーンネットワーク計画」には、NTTや楽天モバイルなど日本の通信大手が名を連ねている。海外で存在感の薄かった日本の通信業界にとって「千載一遇のチャンス」と見ている。

   経済安保に対応するための専門の体制を敷く動きも紹介している。三菱電機は昨年10月、「経済安全保障統括室」を新設した。また、デンソーは今年1月、「経済安全保障室」を設置。パナソニックも経済安保などに対応する「パナソニック総研」を4月に立ち上げた。いずれも当該部門のトップには経済産業省出身者が就いた。

   ほかに、中国での業務委託リスクが露呈したLINEや中国のネット大手・テンセント出資が注視される楽天について、レポートしている。

   第2特集は「ヤフーニュースの憂鬱」。個人投資家で作家の山本一郎氏とヤフーとの間で起きた記事削除をめぐるトラブルなどを詳しく伝えている。山本氏は「記事削除だけではなく、あらゆる基準が不明確」だと話し、コンテンツの取り扱い基準においてもっと明示的であってほしい、と指摘している。

   ヤフーの担当者もインタビューに応じ、契約を終了したのに掲載を続けるというイレギュラーな対応をした経緯やその後削除した手続きについて説明している。

   ヤフーの親会社・Zホールディングス内におけるメディア事業の位置づけが金融事業、コマース事業が伸びる中で、変化している、と指摘。巨大プラットフォームの行方が注目される。

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