エコノミストが「コロナで勝った負けた地銀」を大特集 東洋経済は「経済安保」【ビジネス誌 読み比べ】

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   「週刊東洋経済」「週刊ダイヤモンド」「週刊エコノミスト」、毎週月曜日発売のビジネス誌3誌の特集には、ビジネスパースンがフォローしたい記事が詰まっている。そのエッセンスをまとめた「ビジネス誌読み比べ」をお届けする。

   6月21日発売の「週刊エコノミスト」(2021年6月29日号)は、「コロナで勝った負けた地銀」と題した特集を展開している。低金利がもたらす構造不況とコロナ禍に揺さぶられる地銀。2021年3月期決算から、さまざまなランキングを掲載し、その実態に迫っている。

  • 週刊エコノミストは「コロナで勝った負けた地銀」を特集
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横浜銀行、福岡銀行の両トップ「強気」のインタビュー

「週刊エコノミスト」2021年6月29日号
「週刊エコノミスト」2021年6月29日号

   「コロナで勝った負けた地銀」の最初に出てくるのが、「不良債権予備軍」増減率ランキングだ。「その他要注意先」の金額を調べ、前期比で増加率が大きかった順にランキング化した。

   結果は、開示した88行のうち、9割以上の85行が前期を上回った。トップとなったのは琉球銀行で96.89%の増加。沖縄県の主要産業である観光・サービス業がコロナ禍で打撃を受け、「正常先」と評価していた融資先の業績が悪化した。そこで、借り入れ条件を変え、「元金返済据え置き」などに変更した融資先が増加。これらの融資先の多くは「その他要注意先」に区分し直した、と同行は説明しているという。

   次いで、肥後銀行(九州FG、熊本県)、大東銀行(福島県)、沖縄銀行、青森銀行の順で、ここまでが50%以上の増加率となっている。

   中小企業等貸出残高増減率で、伸び率が大きかったのが中部地方の地銀だ。自動車メーカーと取引関係がある企業や名古屋都市圏内の飲食・小売業が資金繰りで苦しくなり、実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の申し込みが殺到した。伸び率上位20行の中に、愛知銀行(1位)、名古屋銀行(4位)、中京銀行(8位)と愛知県の3地銀が入った。

   こうした地銀の資金繰り支援が支えとなり、20年度の中部3県の企業倒産(負債額1000万円以上)は、19年度に比べ15%減の675件となった(東京商工リサーチ名古屋支社調べ)。これは29年ぶりの低水準だった。

   東西トップ地銀グループの2社首脳がインタビューで次の戦略を語っている。コンコルディア・ファイナンシャルグループ会長で横浜銀行頭取の大矢恭好氏は「コロナ関連融資は7000億円。貸出資産の健全化を進める」と話し、グループ内の東日本銀行についても2022年3月期から黒字化するとしている。

   また、ふくおかフィナンシャルグループ会長兼社長で福岡銀行会長兼社長の柴戸隆成氏は「スマホで完結する『みんなの銀行』は3年で黒字化をめざす」と語っている。

   地銀と提携する証券会社の動きも紹介している。東海東京フィナンシャル・ホールディングス社長最高経営責任者の石田建昭氏は「3年後にも地銀を傘下に収めることを視野に入れる」と語っている。

   また、昨年9月に山陰合同銀行と業務提携した野村証券副社長で野村ホールディングス執行役員の新井聡氏は「今後も提携先を模索する」と話している。

   特集第2部では、地銀の平均年収ランキング(銀行持ち株会社を除く)を紹介している。1位は東京スター銀行の832.1万円、2位は静岡銀行の736.3万円、3位は千葉銀行の734.7万円となっている。一方、最も低かったのは島根銀行で、東京スター銀行の約半分となる438.8万円だった。銀行間にも大きな格差があることがわかる。

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