KeyHolderの株式や資本の動きが活発なワケ?
ここまでみてきたように、ポートフォリオ入れ替えや先行投資により、コロナ禍の影響を受けつつも業績は好調だとわかる。一方で事業転換や投資は莫大な費用を要する。ここでは財務についてみていこう。CF計算書をみると、2019年に引き続き20年も積極的な投資活動を行っていると確認できる。
この点は営業キャッシュフロー(CF)の増大や貸借対照表(BS)において「新株予約権の行使及び新株式の発行による資本金、資本準備金の増加」を確認できることから特段問題がないと私は判断する。とりわけ、新株予約権と新株式については掘り下げてみていく。
同社は第一興商とSMEJ Plusに第三者割当増資と資本業務提携を締結し、「戦略的パートナーとのアライアンス」と位置付けている。また筆頭株主であるJトラストが保有する株式の一部をミクシィ、フジパシフィックミュージック他3社に相対取引により譲渡している。
さらに2018年まで遡ると特別顧問も務める秋元康氏などを割当先とする第2回新株予約権発行を行っており、行使価格や条件はこれからの株価上昇を予感させる。
それではなぜ、株式や資本の動きが活発なのか――。その答えは同社の中長期戦略の「エージェント構想とファンクラブプラットフォーム」にあるのではないか。
同社はアイドル以外にも日本レコード大賞において新人賞を受賞したNovelbrightをはじめとする、人気急上昇中の新人アーティストを多くマネジメントする。それらで培ったノウハウと資本業務提携先を活かし、「今後の新進気鋭アーティストの早期獲得と運用を実施するための"エージェント構想"」と「"エージェント構想"を活かすためのファンクラブプラットフォームを構築」すると説明している。
最後に株価水準についてみていく。先の株式会社ノース・リバーの株式取得に関わるリリースにより、20年6月に2000円を突破する。その後21年1月に800円台の直近安値を境に現在は戻り基調だ(株価は株式併合考慮済)。大手の同業他社にあたるアミューズ(4301)と予想PER(株価収益率)、実績PBR(株価純資産倍率)の観点で比較した場合、KeyHolderの株価に特段割高感はない。
新型コロナウィルスで大きく変わるエンタメ業界。その中でも恐れず、変化を遂げている同社はアフターコロナ銘柄としても期待できる。坂道グループ同様、株価も坂道をすでに上り始めているのだ。
したがって、6月9日、始値と同じ1000円で500株を購入した。
KeyHolder(4712)
年初来高値(2021年5月10日) 1148円
年初来安値(2021年1月15日) 817円
株式取得時の株価(2021年6月9日) 1000円
取得株数 500株
小学生の時に株式投資を始め、アベノミクス相場で大きく資産を増やすも、2015、16年のチャイナショック、18、19年の米中貿易摩擦を経て、機関投資家や地合いの影響を比較的受けにくいニッチな小型銘柄の長期投資にシフト。20年のコロナショックで分散投資とリスクヘッジの重要性を認識し、FX、不動産、暗号通貨、コモディティ、デリバティブを新たに運用しながら、毎日勉強中。金融を学ぶ「おもしろさ」、投資の「楽しさ」を多くの人に知ってほしいと願う。
◆企業分析バトル カブ大学対抗戦のルール学生投資連合USIC
・月額200万円を投資金額の上限とするバーチャル投資です。
・投資対象は新興市場を含む、国内の上場企業の現物取引です。
・運用期限は最長で6か月。銘柄選定の最終月は10月になります。
・順位は11月末時点で、投資した銘柄(企業)の売買や配当で得た収益の騰落率で決めます。
「学生の金融リテラシー向上」を理念に全国26大学1000人以上で構成。企業団体・官公庁との勉強会の開催、IRコンテストの運営、金融情報誌「SPOCK」を発行する。
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