「V字回復」に注目
次に、なぜ注目するのか。収益がV字回復したことが最大の要因だ。前述したように、ここ数年、事業ポートフォリオの入れ替えに注力しているため、主力事業のグループアウトや先行投資によって、収益状況は厳しいと言わざるを得なかった。
しかし、20年通期連結業績の実績と来期のガイダンスを見る限り、赤字を脱却し、大幅な黒字転換したうえに、来期以降も黒字化が定着したとみえる。つまり、ポートフォリオ入れ替えや先行投資の効果が着実に表れた結果といえよう。
●映像制作
秋元康先生の番組企画「日向坂ですちょっといいですか?」や3坂道共演ドラマ「ボーダレス」の制作
●デジタル・コンテンツ
ゲームアプリ「乃木恋」の運用
●広告代理店
SKE48や乃木坂46の起用
また、以上に挙げた例を筆頭にアイドルを核としたグループシナジー効果が表れており、収益を押し上げる一因となっているはずだ。
もっとも、売り上げと利益両面における最大の貢献がノース・リバー(乃木坂LLC、持分法適用会社)によるものである点は強調しておく。
昨年(2020年)開催されたエースメンバー白石麻衣さんの卒業コンサートではチケット販売数22万9000枚、推定視聴者数68万7000人、今年のデビュー9周年記念ライブでは2日間合計視聴チケット販売数24万1585枚、推定視聴者数72万人と報道されている。
デビューから10年という節目の年を迎えようしているが、圧倒的人気を誇っているのだ。コロナ渦でライブや握手会の在り方も大きく変化しているが、決算説明会資料では「有観客興行の可能性及び配信ライブ等の機会を最大化、ECサイトを通じた物販及びモバイル会員向けのコンテンツの充実化を図る。」という方針を打ち出している。