混迷続く東芝、「過保護」の実態が明るみに 経産省が「物言う株主」に圧力

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開き直る経産省

   永山氏はさらに、一連の混乱を招いたことについて、車谷氏の責任を指摘。第三者を交えた調査を改めて実施する意向を示した。また、定時株主総会後の一定の時期に、改めて臨時総会を開き、株主の意見を反映させた取締役を追加する考えも示した。

   永山氏は米経済紙「ウォールストリート・ジャーナル」とのインタビュー(6月17日付)で、問題解決のめどがつけば辞任を検討する考えを表明している。同氏については、取締役会議長として一連の対応の責任を問われる立場で、米議決権行使助言会社から取締役再任反対を推奨されていることもあり、総会での再任のため、いずれ辞任する姿勢を示す必要があったとの見方もある。

   東芝経営陣とは対照的に、開き直りともいえる強硬姿勢を見せるのが経産省だ。梶山弘志経産相は15日、安全保障上重要な企業である東芝に関与するのは「経産省として当然のことを行っているまでだ」と言明。外部調査について「事実関係に疑問を持たざるを得ない箇所がある」と強調するとともに、経産省課長と東芝幹部のメールなどによるやり取りについても、今後の調査は必要ないとの考えを示すなど、幕引きに躍起だ。

   ただ、東芝との関係の不明朗さは覆い難く、経済界からも「東芝の取締役会と経産省は説明責任を負う」(桜田謙悟・経済同友会代表幹事)との声も出ており、産業政策をめぐる議論は、今後に尾を引く可能性もある。

   株主総会はどうなるのか――。株主側ではエフィッシモが17日に声明を発表し、企業統治の抜本的な改善や株主への説明責任を求めたが、総会での取締役選任などへの賛否など踏み込んだ見解は明らかにしていない。ひとまず、外部調査で経営陣の問題がはっきりしたことで、「経産省との関係などで引き続き揺さぶりつつ、当面は経営陣の対応を見極めようという姿勢ではないか」(大手紙経済部デスク)との見方がある。であれば、定時株主総会は何とか乗り切れるとして、次の主戦場は臨時株主総会になる。取締役の補充で、エフィッシモなど物言う株主の意向が反映されるかなどが大きな焦点になる可能性がある。

   いずれにせよ、成長戦略を描き、成果を上げ、株主に還元していくことこそが物言う株主にも矛を収めてもらううえで必須条件になるのは言うまでもない。多くの株主のイライラはまだ続きそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)

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