混迷続く東芝、「過保護」の実態が明るみに 経産省が「物言う株主」に圧力

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経産省がエフィッシモにかけた圧力

   外部調査によると、20年7月の株主総会を巡り、東芝は同1月に公表したグループ企業による架空・循環取引に批判的な態度を強めていたエフィッシモや他の「物言う株主」の動きを警戒し、エフィッシモが提案した取締役候補への賛同が広がらないよう「(東芝が)改正外為法による規制、けん制を期待して、経産省に支援を要請」。経産省課長がエフィッシモ側に接触し、同法の外資規制違反による処分を示唆したという。

   外部調査は「東芝は経産省といわば一体になり、エフィッシモの株主提案権の行使を妨げようと画策した」と指摘している。

   また、外部調査は車谷氏が20年5月11日、当時官房長官だった菅義偉首相に経緯を説明したと推認されるほか、同7月27日に別の東芝幹部が菅氏との朝食会で、「物言う株主」への対処方針を説明したところ、菅氏から「『強引にやれば外為で捕まえられるんだろ?』などとコメントされていた」と記述した。菅氏は報告書発表の21年6月10日夕、記者団に「そんなことはありえません」と否定したが、「経産省内閣」とも称された安倍晋三政権時代のことでもあり、経産省の跋扈ぶりと、東芝への過保護ぶりを印象付けるエピソードといえるだろう。

   外部調査を受けた東芝経営陣の対応は、「恭順の意思表示」ととれるものだ。14日に社外取締役である永山治・取締役会議長(中外製薬名誉会長)が記者会見し、「経済産業省との関係を含め、企業統治や法令順守の意識が欠如していた」と外部調査の指摘を基本的に認め、「株主らに心配をおかけする事態となり、おわび申し上げます」と謝罪。そのうえで、13人の取締役選任議案のうち社外取締役2人について撤回し、執行役の幹部職員2人を総会の25日付で退任させると発表した。一度決めた役員人事を、総会直前に撤回するという極めて異例の対応だ。

   退任する社外取締役は監査委員会委員長の太田順司氏(元新日本製鉄常務)と、同委員の山内卓氏(元三井物産副社長)。20年7月の総会について問題はなかったとの結論を21年2月に出していた。退任させる幹部は豊原正恭副社長と加茂正治上席常務で、20年の総会をめぐり、経産省との交渉を担ったと名指しされていた。今回の外部調査を受け入れる以上、4人を切るほかなかったということだろう。

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