【2本目】2021年に入ってから株価の上昇が顕著な銀行株ですが、今回はメガバンクの中でもトップに君臨している三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)について企業分析をしていきたいと思います。
MUFGの主な業務内容として銀行業務、信託銀行業務、証券業務などを行なっており、2021年3月期通期の業務粗利益は4兆円、親会社株主純利益が7770億円(前年対比+2488億円)となっています。2020年の通期決算ではコロナの影響により純利益が大きく落ち込む場面がありましたが、今回の決算を見てもわかるように力強い収益力の回復が確認できます。
銀行株の株価と米国10年債利回りは連動する
下のグラフを見てください。オレンジ色の線が10年債利回り、ローソク足をMUFGの株価として5年間の変動を重ね合わせたものです。MUFGは国内だけでなく海外にも多くの貸付業務を行なっており、10年債利回りが上がると貸出金の利ざやが増えることから、このように株価と10年債利回りの連動が起こるのです。
そして今回注目したいのが、5月19日に公開された連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録の内容です。その議事録の中には、今後の米国経済の動向によってはテーパリング(資産買い入れプログラムのペースを緩めること)に関する議論を開始しなければいけないのではないか。といくつかのFOMC(米連邦公開市場委員会)参加者が発言したことが示されています。簡単に意訳すると、米国経済が上向いてきたのでFRB(米連邦準備制度理事会)の景気支援策について見直しの議論が必要なのではないかと何人かのFOMCのメンバーが発言したということです。
この発言の何が注目に値するかというと、米国経済が回復してきている(FRBの景気支援策の効果が出てきた)→インフレ率が2%に近づく(FRBが掲げている目標)→米国10年債利回りが2%に近づく(長期金利の要素は実質金利、期待インフレ率、タームプレミアムで構成されるため、インフレ率が上がると金利も上がる)と予想できるからです。5月31日現在の10年債利回りは1.6%付近ですから、さらなる上昇が見込めると考えています。
配当も魅力的
株価のアップサイドを見込めるだけでなく、銀行株は配当金も魅力的です。今年のMUFGの年間配当は1株あたり25円、来年の配当は27円と約4%配当利回りが見込めます。
また、配当金の適切性を判断する指標である配当性向は40%程度と若干高めの水準ではありますが、成熟産業において配当性向が高くなるのは一般的であるため十分許容範囲だと考えることができます。
以上の投資判断をもって、6月1日に623円で100株を購入したいと思います。
三菱UFJフィナンシャル・グループ (8306)
年初来高値(2021年3月22日) 660円
年初来安値(2021年1月4日) 448円
株式取得時の株価(2021年6月1日) 623円
取得株数 100株
埼玉県出身。
◆企業分析バトル カブ大学対抗戦のルール学生投資連合USIC
・月額200万円を投資金額の上限とするバーチャル投資です。
・投資対象は新興市場を含む、国内の上場企業の現物取引です。
・運用期限は最長で6か月。銘柄選定の最終月は10月になります。
・順位は11月末時点で、投資した銘柄(企業)の売買や配当で得た収益の騰落率で決めます。
「学生の金融リテラシー向上」を理念に全国26大学1000人以上で構成。企業団体・官公庁との勉強会の開催、IRコンテストの運営、金融情報誌「SPOCK」を発行する。
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