開発したエーザイ株、4割上昇も懸念...... アルツハイマー病「治療薬」に潜むリスク

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   医薬品の世界で「ブロックバスター」と言えば、年間売上高が10億ドル(約1100億円)を超える大型商品を指すことが多い。これをいくつ抱えるかが経営の命運を握るため、世界の主だった製薬会社は巨額の研究開発費を投じて創薬に注力している。

   そんななか、和製ブロックバスターと期待を集めるのが、製薬大手エーザイだ。米国のバイオ医薬品大手バイオジェンと共同開発したアルツハイマー病新薬「アデュカヌマブ」が2021年6月7日、米食品医薬品局(FDA)に承認された。承認を挟んだ1週間でエーザイの株価は、じつに4割も上昇した。

  • アルツハイマー病に光明(写真はイメージ)
    アルツハイマー病に光明(写真はイメージ)
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世界が注目している新薬「アデュカヌマブ」

   認知症の一種であるアルツハイマー病は、脳の一部が萎縮して生活に著しい支障が生じる進行性の病気で、日本国内だけで患者は300万人を超えるとの推計もある。原因は明確になっていない。症状を一時的に軽くする薬は存在していたが、アデュカヌマブは認知機能の悪化を遅らせる効果が期待されている。

   スイスのベンチャー企業が開発して、エーザイとバイオジェンが共同で10年近くを費やして製品化を目指していた。米国でアルツハイマー病の新薬が承認されるのは18年ぶりで、日本の厚生労働省にも2020年12月に承認を申請しており、2021年中にも可否を判断する方向だ。

   この新薬が世界で注目されている背景には、主要国で進む高齢化がある。アルツハイマー病の発症は加齢が因子の一つになっているとされ、症状が進行することもあって介護にかかる労力や費用は切実な問題だ。

   アデュカヌマブを4週間に1回の点滴投与で使った場合の価格は年5万6000ドル(約610万円)にも及ぶが、エーザイの内藤晴夫最高経営責任者(CEO)は、中所得者や低所得者も利用できる枠組みを構築する必要性を言及している。

   公的な扶助や民間の保険による患者側負担の軽減などが想定されており、アデュカヌマブは世界各国の認知症対策を一変させる可能性を秘めているというのも、うなづける。

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