「ロイヤルホスト」や「天丼てんや」などを運営するロイヤルフードサービス(東京都世田谷区)が、バターミルクフライドチキン専門店「Lucky Rocky Chicken(ラッキーロッキーチキン)」を2021年5月29日にオープンし、話題を呼んでいる。
おそらく、多くの人が「フライドチキン」と聞いて、真っ先に思い浮かべるお店は「ケンタッキーフライドチキン(KFC)」だろう。なにしろ、日本に上陸して50年以上の歴史を持つ老舗チェーン店なのだから、それも仕方がないところ。
ロイヤルグループの新業態が、そんなフライドチキン市場にどんな新風を巻き起こすのか――。
KFCと食べ比べてみた!
6月8日、武蔵小山商店街パルム(東京都品川区)にある「Lucky Rocky Chicken」に向かった。
訪れたのは平日の11時過ぎ。店の前には10人ほどのお客が集まり、注文や商品の受け取りを待っていた。店内には2~3組のお客がおり、滑り出しは好調のようだ。
メニューは「バターミルクフライドチキン」(1ピース税込300円)=下の写真参照=と、それを使用したハンバーガーやサラダなど。テイクアウトしておかずの1品に加えるのもよさそうだ。
見た目どおり、衣はサクサクと香ばしい。スパイシーな味付けであっさりとした鶏肉、だが肉は分厚く満足度は高い。中に骨が入っていないので食べやすく、記者もペロリと平らげてしまった。
武蔵小山商店街パルムには、同じフライドチキンを主力商品とした「ケンタッキーフライドチキン 武蔵小山店」が、デンと構える。言わずと知れたチェーン店で、Lucky Rocky Chickenと競合することが予想される。
なかでも、バターミルクフライドチキンとよく似ているのが「骨なしケンタッキー」(250円)だ=下の写真参照=。
11種類のハーブ&スパイスを使用している商品だが、刺激的な風味はなく、ほんのり塩・こしょうが感じられる程度。衣や肉はバターミルクフライドチキンと比べると薄く、ライトに食べられる。
KFCとの違いは? 広報に聞くと...
なぜ、バターミルクフライドチキン専門店を展開することにしたのか――。会社ウォッチ編集部は6月9日、ロイヤルホールディングスの広報担当者を取材した。
「お店を運営するロイヤルフードサービスの商品開発担当や各店舗の従業員が参加する、アメリカへの視察研修時に『バターミルクフライドチキン』に出会い、みなさんの日常の食卓にご提供したいと考えました。
また鶏肉は栄養価が高く、供給価格の安定性があることから、専門店を展開することになりました」
さらに担当者は、バターミルクフライドチキンを提供するにあたり、
「ロイヤルグループが培ってきたノウハウを活かし、時代のニーズに合ったサービスや商品を提案することで、日々の生活に新たな楽しみ方・時間・地域とのつながりを創造したい」
としている。
主なターゲットは20代~50代の、地元に住む女性やファミリー層。武蔵小山に店を構えた背景には、コロナ禍の影響でテイクアウトや宅配サービスに力を入れることがあるようだ。
「これまでのイートインを主な目的とした店舗展開では、人が集まる立地に出店し、お客様に来店いただくというビジネスモデルでした。
しかし今後はより生活エリアに近い場所に出店し、お客様との距離を短くすることが必要だと考えています。Lucky Rocky Chickenはテイクアウト・デリバリーを主とした『中食に強い』新たな業態として、さまざまな利用シーンが考えられます」(ロイヤルホールディングスの広報担当者)
また、KFCとの違いを聞くと、「他社さまとの違いについて詳細はわかりかねます」としたうえで、
「Lucky Rocky Chickenでは、アメリカではコンフォートフード(懐かしい味・幸福感を与える食べ物)として知られるバターミルクフライドチキンを、3つのシンプルなメニュー構成で提供しています。さらに自社工場で製造するバンズや、オリジナルクラフトコーラを提供するなど、Lucky Rocky Chickenであるからこそ楽しめる商品ラインアップとなっています」
と回答した。
今後の展望については「多くの方々の日常に寄り添えるお店になっていければと思います」とコメントしている。
(会社ウォッチ編集部 笹木萌)