日本の落日...... 台湾メーカー頼みで「日の丸半導体」再興できるのか!?

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TSMCにとってのメリットとは?

   だが、今回は背景が大きく異なる。コロナ禍からの経済回復に伴う世界的な半導体不足という短期的な要因に加えて、米国と中国の間で激化する技術覇権争いは中長期的に続くと見込まれる。IT機器や高速通信に不可欠な最先端半導体の開発や製造を巡って、供給網を囲い込む動きが世界的に広がっている背景には、この米中対立がある。

   そこで、TSMCを引き込むことで、国際競争力を今も残している日本の半導体関連メーカーを活性化させると同時に、台湾に対して武力による併合も辞さない構えを見せる中国をけん制する――経産省にはそんな思惑もありそうだ。

   TSMCにとっても地政学リスクが高い台湾から拠点を分散するなら、距離が近くて各種インフラが整った日本は打って付けだろう。

   海外メーカー頼みの「日の丸半導体」振興策は、日本メーカーが世界を席巻した1980年代と比べれば、一抹の寂しさを感じる人もいるだろう。ただ、もはや米中のような巨額の半導体支援策を打ち出す余裕がない日本にとっては、これが「実を取る」策となるのかもしれない。(ジャーナリスト 済田経夫)

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