ノジマがスルガ銀行に三行半 埋まらなかった「協業」のスピード感

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   資本・業務提携するスルガ銀行と家電量販大手のノジマが、「別れ話」を始めた。

   ノジマの野島廣司社長(70)が、2021年6月末の株主総会を待たず、6月1日付でスルガ銀副会長を退き、取締役も外れた。ノジマはスルガ銀の株式の18.5%を保有する筆頭株主だが、その売却を含め、両社の関係は完全解消に向かう。

  • ノジマとの「別れ」で、スルガ銀行はどうなるのか!?(画像は、スルガ銀行のホームページより)
    ノジマとの「別れ」で、スルガ銀行はどうなるのか!?(画像は、スルガ銀行のホームページより)
  • ノジマとの「別れ」で、スルガ銀行はどうなるのか!?(画像は、スルガ銀行のホームページより)

シェアハウス融資で躓き

   ノジマとスルガ銀行が提携に至った経緯は、J-CASTニュースでも「スルガ銀行の筆頭株主にあの『ノジマ』 傘下企業などから読み取るその狙いは」(2019年11月9日付)で詳報したが、簡単に振り返っておこう。

   スルガ銀は沼津市の相互扶助組織を源流として1895年設立の地銀で、個人向け金融(リテール)に特化した経営やインターネットバンキングの積極展開で「優良銀行」として注目を集めた時期もあった。

   しかし、業績を上げるためにシェアハウスなどの投資用不動産を対象にした融資に過大に傾斜し、審査書類の改ざんや契約書の偽造といった不正行為が横行していたことが2018年に発覚。不適切融資は1兆円規模に達し、同年10月に金融庁から融資業務の一部停止を含む業務改善命令を受け、創業家の岡野光喜会長(当時)ら経営陣は引責辞任したが、預金の2割が流出するなど、経営基盤が揺らいだ。

   そこに「救世主」として登場したのが、神奈川県が地盤でスルガ銀と営業エリアが重なるノジマだ。まず市場でスルガ銀株5%弱を取得。19年5月に両社は業務提携で合意したのに続き、10月には創業家のファミリー企業が保有するスルガ銀株を140億円でノジマが取得し、18.52%をもつ筆頭株主になった。

   2020年5月に改めて資本・業務提携を結び、6月のスルガ銀株主総会を経て、ノジマの野島廣司社長がスルガ銀の副会長に就任したことで、関係は盤石とみられていた。

   しかし、両社の提携の狙いには、温度差があった。スルガ銀経営陣にとっては、ノジマという後ろ盾を得ることによる信用補完が眼目。シェアハウスなど投資用不動産融資の損失処理を急ぎ、その先に共同事業がくる。

   一方、ノジマは協業による果実を早く得たいと考えた。具体的には、ノジマの店舗内でスルガ銀の金融サービスを提供する共同店舗の設置、カードビジネスでの連携に加え、スルガ銀がフィンテック(情報技術を活用した金融サービス)に力を入れていたことから、スマホ決済など電子マネー関連事業でも連携していくことを構想していたという。

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