政権幹部「尾身さんの提言はしょせん作文だよ」
ずいぶん期待外れの内容だが、「尾身の乱」の実態は菅政権側にはとっくに筒抜けだったようだ。政府側の反応は極めて冷ややかだ。
東京新聞(6月17日付)が「開催リスクの専門家提言『こういうのは作文』」という身もふたもない見出しで、こう伝える。
「尾身茂会長は政府に提言を出すと表明したが、発表に時間がかかっている。専門家の独自性を保ちながら、政府にも受け入れられ、提言に参加する全員が納得できる内容が求められる。あるメンバーは『こういうのは作文だから。どうとでも読めて、皆が納得できるよう(政府とも)協力してやるのが1番いい』と話す。提言は大筋で完成した。尾身氏は菅義偉首相に手渡し、説明することにこだわっているという。別のメンバーは『あっと驚くような提言は出てこない。(大会後)組織委は解散し、政府は『俺たちは知らない』と言う。第2次世界大戦みたい。誰か責任者がいるわけでもなく突撃している感じ』と皮肉った」
毎日新聞(6月17日付)「五輪に観客『感染加速』 人出、東京に集中」も、こう皮肉る。
「尾身茂会長は今週にも、東京五輪での感染症対策に関する提言を行う。だが、政府関係者は『参考にはするが、医療の専門家であってイベントの専門家じゃない』と話し、当初方針で押し切る構えだ」
政府側にとって、「尾身の乱」は鎮圧するにもあたらないようだ。
(福田和郎)