今週の暗号通貨市場は、中米のエルサルバドルの「決断」に沸いた。ビットコインも急上昇。しかし、4万ドルを超えると期待されたものの、結局は4万ドルを超えられず、3万4500ドルほどに戻ってしまった。
そうしたなか、職業能力開発総合大学校のさっちんは着実に利益を上乗せ。一方、同志社大学のしがないトレーダーは、3万ドル半ばに戻したのを見て、取引を見送った。明治大学の城正人さんも、そろそろ「底打ち」を期待しているものの、慎重を期す。
方針一転チャート再検討!(明治大学 城正人さん)
◆ 今週(2021年6月7日週)の値動きと今後の戦略
先週の記事で来週1ETH=2000~2500ドルまで下げたらイーサリアム(ETH)の購入に踏み切ると記述しました。今週、実際に2200ドル付近まで急落する場面もあり、購入すべきか購入すべきでないか、かなり迷いました。
先週のワンポイントアドバイスにもあったように、取引量が減少していること、最高値からおよそ40%下落していることを踏まえると、底打ちを期待したくあります。しかし、ETHについてトレンドラインを引いてみると、下限抵抗線をきれいに割ってしまっていました。
直近の値動きの目安としては2021年2月から4月にかけ揉み合っていた2000ドルが一つの節目になると考えます。仮に瞬間的に2000ドルを割り込み、総悲観のムードになった際には強気の買い入れを行おうと考えています。
ただし、じりじり高値を切り下げる展開が続くようであれば戦略を練り直します。
◆ 今週の気になる動き
今週気になった動きだったテーマがありましたので、そちらを分析したいと思います。6月11日16時30分頃からNFT(Non Fungible Token)をテーマに持つ暗号通貨が一斉に上昇を見せました。このときに上昇したのは、CHZ(チリーズ)、ENJ(エンジン)、MANA(ディセントラランド)、FLOW(フロウ)などです。
なぜ、一斉にNFT系の銘柄が上昇したのか定かではありません。材料としては音楽グループ「perfume」がNFTアートをリリースしたことなどが考えられます。
上昇基調が持続するようであれば、国内取引所でも購入可能なENJ(エンジン)に投資してみようかと検討しました。しかし、すぐにその上昇基調は持続せずに元の価格帯に戻ってしまい、何とも気になる値動きでした。今後とも監視を続けていこうと思います。
◆ NFTとは
そもそもNFTとは非代替性トークンのことを指します。つまり、替えが効かない資産ということです。現実世界で例えると、同じ車種同じ年式のクルマであっても、他人のクルマと自分のクルマを置き換えることはできません。
デジタル資産の場合コピー&ペーストで、まったく同じ資産を創ることが可能ですから、どちらが本物でどちらがコピーされたものなのか第三者からすると判別ができないわけです。
そこで、ブロックチェーンの技術を利用することで唯一無二の本物であるという証明を簡単に行えるようにしたのです。まだまだこの技術を利用することのメリットはあり、今後のさらなる利用に期待したいと思います。
◆ まとめ
市場環境的に投資に及び腰ではありましたが、そろそろ実際にお金を投入していこうと思います。また今回、字数の関係でNFTについて満足にお伝えすることはできませんでした。折角のNFTについて注目したので、次回は国内取引所で購入可能なENJ(エンジン)を例にどんなことができるのか、その機能について分析したいと思います。
◆ 児山将のワンポイントアドバイス
主要仮想通貨の中では2020年でトップクラスの上昇率を記録していたイーサリアムですが、急落後は戻りの鈍い展開となっています。一番戻りが強いのはビットコインとなっており、ドミナンス(その通貨が暗号通貨/暗号資産の市場全体で、どれだけのシェアを有しているかを表す指標)も40%から45%へと回復。米テスラ社のビットコイン決済再開の条件(マイナーのクリーンエネルギー使用増)が提示されたこともあり、再び上昇に転じています。
ただし、イーサリアムも5月23日以降は直近の安値を更新しておらず、底打ち傾向にあります。また、7月にロンドンアップデートを控えていることもあり、仮想通貨市場全体が上向いてくると強い上昇となりそうですね。
前週からの損益 プラス・マイナスゼロ
6月11日現在 1万円
3週間でラーメン一杯(職業大学校 さっちん)
みなさん、おはようございます。さっちんです。
さて今回、暗号資産の取引結果は合計230円の利益となりました。この3週間でやっとラーメン一杯食べられる利益になりました! この調子で友達の分のラーメン代を稼いでいきたいです。
経緯は、6月10日にビットコインが1BTC=399万6370円の時に9592円分を購入しました。420万円で指値しました。しかし、指値まで値上がりしそうになかったので、6月3日に1BTC=409万2837円の時点ですべて売却。9822円になりました。230円の利益です。
エルサルバドルで、ビットコインが法定通貨になりました。予想よりも早く法定通貨になったことが、本当にびっくりした週でした。ここまで迅速に決定されるとは思いもよりませんでした。
今週は下落ぎみということで、買う必要はなさそうだなと考えていたのが、仇となって反発したタイミングを見逃してしまい、買うタイミングが一歩遅れてしまいました。
それでも利益が出せたことは良かったことです。しかし、焦って買ったことは注意が必要だなと思いました。
予想では420万円まで伸びると見ていたのですが、法定通貨になった影響も衰え1BTC=410万円止まりでした。法定通貨の影響はこれから徐々に影響が強まっていくと考えられます。法定通貨になったことで法律に抜け目が生じると思われるので、規制が強くなすぎてしまわないか心配ですが、良い方向に向かってくれればいいと思います。
さて、インドでも資産として認識するような動きになっています。それぞれの国が徐々に暗号資産に対して前向きな姿勢になっているのは良いことです。
では、また来週!
◆ 児山将のワンポイントアドバイス
エルサルバドルが現在のドルからビットコインを法定通貨として選んだことには驚きでした。これには国民の7割が銀行口座を持たない、そして投資を呼び込みたいということが主な理由だそうです。人口660万人ほどの同国は、海外からの仕送りがGDPの16%を占めており、その送金手数料が10%も及びとのことです。そのため、ビットコインでの送金にするだけで、1%程度はGDPが伸びる可能性が考えられます。
そうであれば、法定通貨にせずとも良いのではないかと思うのですが、全世界からかつてないほどに注目を集めることになったといっても過言ではないかもしれません。この動きに、トンガやパラグアイも興味を示しており、壮大な社会実験が始まったといえそうです。
前週からの損益 プラス230円
6月11日現在 1万970円
ビットコイン反発 でも、ちょっと待った!(同志社大学 しがないトレーダー)
◆ 今週(2021年6月7日週)の気になったニュース
2021年6月9日15時20分頃、歴史的な大事件が起きた。アメリカ時間、6月4?5日に行われた、世界最大級のビットコインカンファレンス「Bitcoin 2021」で、エルサルバドル共和国のナジブ・ブケレ大統領が、ビットコイン(BTC)を「法定通貨」として採用するための法案を議会に提出する方針であることが発表された。
その後、6月9日15時20分頃、エルサルバドルで、ビットコインを法定通貨として採用する法案が議会で可決された。このニュースは、たちまち世界中で旋風を巻き起こした。
発展途上国のエルサルバドルでは、金融インフラが弱いため、国民の約7割が「銀行口座」を持ってないという。GDP(国内総生産)の多くは、国外の労働者の仕送りが占めているため、ビットコインの送金システム、「Lightning Network」は、需要が高いと考えられている。
このニュースの影響により、3万ドル付近にまで下落していたビットコインは、反発し、一時3万8500ドルほどまで上昇した。
6月10日、エルサルバドルのブケレ大統領は、LaGeo(エルサルバドルの国営地熱発電会社)に火山熱を使ったビットコインマイニングを指示したというツイートをした。また、火山発電は、安価であり、クリーンで再生可能なエネルギーとツイートでアピールした。ビットコインの環境問題が大きな反響を呼んでいる中、火山熱によるビットコインマイニングは興味深いと感じた。
◆ 今週の取引
今週こそは、エルサルバドルのニュースでビットコインが4万ドルを超えると期待していたので、本格的に取引をしようとしていた。しかし、結局4万ドルを超えられず、3万4500ドルほどまで戻してしまった。現在、好材料だけだと思いがちだが、先週の記事の児山さんのアドバイスにもあったとおり、中国・青海省のマイニングを禁止の報道や、中国のインターネットで仮想通貨取引所が検索できなくなっていること、ハッシュレートの急低下といった悪材料がある。
結局、ビットコインは3万ドルから4万ドルのレンジ相場続きなので、今後の相場を予想し、取引をするには、このレンジ相場を抜ける必要がある。相場打開を待つのみだと考える。
また、今後のエルサルバドル共和国の動向に注目したい。
◆ 児山将のワンポイントアドバイス
エルサルバドルの決定に対して、国際機関や国家がどう反応しているのか。つまり世界がそれを認めるのか否かが、今後の流れを決めると感じています。
投資家はポジティブに捉えているようで、議会で決定した直後にビットコインは急騰。24時間で50万円ほどの上昇を演じました。国際決済銀行(BIS)の幹部は、「興味深い実験」と発言。ただし、ビットコインは投機的な資産であり、決済手段としての基準を満たしていないと認識と語りました。国際通貨基金(IMF)は、「ビットコインの法定通貨採用は、マクロ経済、金融、法律上、多くの問題を提起したことから非常に慎重な分析を必要とする」とコメント。同国でビットコインが法定通貨として利用されるのは90日後の9月から。その際に、どういった問題が出てくるのか、非常に興味深いところですね。
前週からの損益 プラス・マイナスゼロ
6月11日現在 1万円
◆ 大学対抗 1万円からはじめる暗号通貨バトルのルール学生投資連合USIC
・元本は1万円です。
・投資する暗号通貨の選定は自由です。ただし、国内で購入できる暗号通貨に限ります。
・レバレッジは、かけられません。
・20%を超えて下げた場合は、強制的に取引を停止(ロスカット)します。
・元本割れは1回まで。リベンジ(再投資)可能ですが、2度、資産(合計で2万円分)を失った場合は、その時点でリタイアとなります。
・順位は、11月26日時点の運用損益で決めます。
「学生の金融リテラシー向上」を理念に全国26大学1000人以上で構成。企業団体・官公庁との勉強会の開催、IRコンテストの運営、金融情報誌「SPOCK」を発行する。
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