「骨太の方針」の形骸化続く 総選挙見据え菅政権はバラ色の未来を振りまく

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   政府は予算編成に向けた経済財政運営の指針「骨太の方針 2021」を固めた。

   脱炭素化やデジタル化など、菅義偉首相の看板政策を前面に押し出したが、主要政策を見ると過去の骨太の焼き直しが目立ち、新味に欠ける内容と言わざるを得ない。

  • 目新しさなし!? 菅政権が打ち出した「骨太の方針 2021」
    目新しさなし!? 菅政権が打ち出した「骨太の方針 2021」
  • 目新しさなし!? 菅政権が打ち出した「骨太の方針 2021」

「看板」政策も安倍政権の積み残し

「新型コロナウイルス対策に最優先で取り組みながら、グリーン、デジタル、地方、子どもの4つの課題に重点的な投資を行い、力強い成長を目指す」

   菅義偉首相は2021年6月9日の経済財政諮問会議で、こう強調した。秋までにある総選挙もにらみ、最低賃金の全国平均を1000円に引き上げるなどの具体的な政策を盛り込み、国民に実行力をアピールしたい考えだ。

   ただ、政府内に高揚感は見えない。骨太はその時々の政府の看板政策に、各省庁の要望を組み合わせて構成されており、「実効性よりも、政権が何を目指しているかを計るショールームの要素が強い」(中央官庁幹部)。

   今回の骨太の看板となる行政のデジタル化も、すでに安倍晋三政権時代の骨太に盛り込まれていた。しかし、目に見えた成果が上がらないままコロナ禍に直面し、行政の大混乱を招いたのは周知のとおりだ。骨太に盛り込まれたものの、翌年以降にいつの間にか消えていった政策は数知れない。

   「言いっぱなし」で終わる政策目標の象徴といえるのが、財政再建目標だ。

   政策的経費を税収などで賄えているかどうかを示す指標といえば、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)。骨太の方針でも毎年、必ず目標として掲げてきた。直近の目標は2018年の骨太で掲げた「2025年度にPB黒字化」だ。しかし、財政の改善はなかなか進まず、コロナ禍の前ですら「25年黒字化達成は不可能」というのが霞が関の共通認識だった。

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