企業アンケート「東京五輪反対」が増えて6割以上に! 「もう経済効果が望めない」

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   東京五輪・パラリンピックの開催まで40日を切った。いっこうに盛り上がらないなか、菅義偉政権は観客を大幅に入れての開催強行に突き進んでいる。

   こんな事態に、もともと「経済効果」を期待するはずだった企業で、「東京五輪中止」を求める声が高まっていることが、民間調査会社の東京商工リサーチの調べでわかった。2021年6月15日の発表。

  • 東京五輪は開催するのか(イメージ)
    東京五輪は開催するのか(イメージ)
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「感染拡大のデメリットのほうが大きい」

   東京商工リサーチの「東京五輪・パラリンピックに関するアンケート調査」は、昨年(2020年)8月、今年2月に続く3回目。調査は6月1日~9日に実施。全国の企業9163社から有効回答を得た。

参考リンク:第3回「東京五輪・パラリンピックに関するアンケート」調査 6割以上の企業が「中止」「延期」を望む(東京商工リサーチ)

   東京五輪・パラリンピック開催の望ましい形を聞くと、最多は「予定通り開催」の35.9%だった。ただ、前回調査(21年2月)の43.8%から7.9ポイント下落した。

   次いで「中止」が34.7%、「延期する」が29.3%と続く。「中止」と「開催延期」を合計すると、64.0%が今夏の開催に反対だった。「中止」「延期」は前回調査(21年2月)から8.1ポイント上昇し、今夏の開催を不安視する回答が増えたことがうかがえる=グラフ参照

グラフ:「予定通り開催」が下落する過去3回の企業調査(東京商工リサーチ調べ)
グラフ:「予定通り開催」が下落する過去3回の企業調査(東京商工リサーチ調べ)

   企業の規模別では、大企業(資本金1億円以上)は「予定通り開催」が38.1%だったのに対し、中小企業(資本金1億円未満、個人企業など)は35.6%で、大企業が2.5ポイント上回った。

   国内のワクチン接種は徐々に広がりを見せるが、都市部を中心に多くの地域での対象は高齢者が中心で、2回目の接種率は1.73%(6月13日現在)にとどまる。こうした社会情勢も反映し、6割以上の企業が東京五輪・パラリンピックの予定通りの開催に懐疑的な見方を示している。

   「中止」「延期」と答えた企業に理由を聞くと(複数回答)、最多は「国内のワクチン接種率が低い」の76.2%。次いで「大会関係者の来日で感染拡大を懸念される」(75.7%)で、ともに7割を超えた。

   国内の感染防止対策に不透明感が漂うなかでの開催を懸念する見方が強かった。「大会に医療従事者が充当され、一般の医療がひっ迫する」(63.6%)も6割を超えた。大会期間中、感染者が増加した際の対応策について不安視する回答も少なくなかった。

   また、「海外からの観客受け入れが見込めず、経済効果が薄い」46.3%)、「国内からの観客受け入れが見込めず、経済効果が薄い」(42.2%)といった、五輪を開催しても会社にメリットがないことを理由にあげる企業が多かった=下表参照

表:企業が開催に反対する理由(東京商工リサーチ調べ)
表:企業が開催に反対する理由(東京商工リサーチ調べ)

   一方、中止や無観客での開催となった場合、経営にどのような影響があるかを聞くと(複数回答)、「悪い影響が多い」(58.7%)と答えた企業が6割近くを占めたのに対し、「良い影響が多い」(41.2%)も4割を超えた。特に、大企業では「良い影響が多い」(37.6%)が4割を切り、中小企業(41.8%)と4.2ポイントの差がついた。

   中止や無観客での開催は、大企業により強いダメージを与えるようだ。

   東京商工リサーチは、こう分析している。

「開会まで40日を切り、6月15日には国際オリンピック委員会(IOC)のジョン・コーツ調整委員長らが来日したというのに、開催への歓迎ムードは盛り上がりに欠ける。調査では、無観客開催・中止となった場合、約6割の企業が『悪い影響が多い』との見方を示した。それでも『予定通りの開催』を望む声は4割に満たなかった。これは、開催期間中の感染拡大や医療体制のひっ迫、それに伴う大会終了後の景況感の悪化への不安が強いことの表れといえる。東京都の感染者数が直近の週平均で1日300人を超えるなか、開催への不安を残り1か月で払拭できるのか。政府やIOC役員らの明確な説明が必要だ」

「菅首相の支持率と五輪開催派は同じ割合」

   この調査について、ネットではこんな意見があふれている。

「東京五輪を無観客なら開催してもいいと思っていたが、政府は観客を入れることにこだわっているので、中止・延期というしかないという結果だと思う。観客を入れると感染リスクが上昇するので、政府はそのデメリット以上に得られる価値がある理由を明示すべきだ。企業にテレワークを推奨しておきながら、観客を入れることはまったく理解できない」
「企業サイドでも五輪実施には否定的な立場が多くなっています。それでも実際に強行して、結果的に企業にもマイナスの影響が出たら、日本経済団体連合会や日本商工会議所は、菅政権と自民党を見限って、政治献金をやめるとよいのですが......」
「企業の声は自民党にとっても無視できないはず。企業は社会的責任においても、黙っていないでもっと声をあげるべきだ」
「企業でも4割弱が五輪開催派ですか。菅政権の支持率と同じくらいか、と感じました。東京五輪も菅政権も、まだそれほどの支持率があることにビックリです」
「これ、企業に対するアンケートだから国民の意識と逆だと思う。海外客が来なくなりインバウンドがなくなった。つまり五輪での売上増が見込めなくなったので、それなら中止のほうがよいという考え方。むしろ観客をいっぱい入れて、海外客もバンバン呼ぶなら開催賛成派が大多数になりそう」

   ある会社経営者からは、こんな声が。

「経営する立場としては、順調にワクチン接種を進めて経済活動を再開してほしい一念だ。ここで東京由来の変異株など生じたら、今でさえ世界から周回遅れの日本経済が地に落ちる。日本が致命的な政治の失敗をしている間に、世界は大きく変わった。資材価格は上昇し、インフレ懸念が高い。欧米は中銀の資産圧縮が始まろうとしている。もうすぐ日本では、モラトリアムのお祭り騒ぎをするようだが、祭りの後に企業にとってのメリットはありそうもない。オリンピックなど本来やっている暇はない」
「運送業です。『中止や無観客となった場合の経営への影響』。この質問は正直難しい。観客を入れようが入れまいが、開催されれば配送業務に多大な影響が出る。現場業なので、テレワーク7割と言われても業務に支障がでる。さらに感染再拡大で4回目の緊急事態宣言が出た日には、今度こそ会社がもたない。さりとて、中止すると、他に景気浮上策があるわけではないので、景気がいつ復活するのか先が見えない。もうどっちに転んでも、当面明るい未来が描けないという意味では、答えにくい質問ですよ」

   最後にこんな声を紹介したい。

「もう何が何でも東京五輪開催の流れのようだから、このアンケート調査もあまり意味がないと思う。6月25日告示の東京都議会議員選挙は、自民党が嫌がっているが、東京五輪開催が争点。最後のチャンスだ。よく考えて投票しよう」

(福田和郎)

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