コロナ禍つけこみ、あの手この手で忍び寄る詐欺行為にご注意を!(鷲尾香一)

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   消費者庁は2021年6月8日に発表した「消費者白書」の中で、新型コロナウイルス関連の消費生活相談の内容を取り上げた。

   それによると、コロナ禍を悪用したさまざまな消費相談が寄せられている。

  • コロナ禍の悪徳商法増えて......(写真はイメージ)
    コロナ禍の悪徳商法増えて......(写真はイメージ)
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保健衛生品関連の相談、3割占める

   消費者庁によると、2020年の消費者被害・トラブル額の推計は、約3.8兆円となった。2017年の約5.3兆円、2018年の約6.1兆円、2019年の約5.1兆円からは大幅に減少している。

   こうしたなか、新型コロナウイルスに関連する消費生活相談は、政府の緊急事態宣言が出された2020年4月に2万1611件と多数にのぼった。これは、4月に受け付けた消費生活相談全体の約4分の1を占めた=表1参照

2020年の緊急事態宣言後、相談は急増した。
2020年の緊急事態宣言後、相談は急増した。

   もっとも相談件数が多かったのは、「保健衛生品その他」で、コロナ関連の相談全体の約3割を占め、4月には7865件の相談が寄せられた。品物不足に陥ったマスクに関しては、「ネット通販で子供用マスクを購入したが商品が届かない」などインターネット通販のトラブルに関する相談や「頼んでいないマスクが中国から届いた」など、送り付け商法と関連の相談もあった。

   同様に品薄となった消毒用アルコールでも、「通販で消毒用アルコールを購入したが商品が届かず偽サイトのようだ」、「ネット通販で注文した消毒液をキャンセルしたいが連絡が取れず、サイトも見られなくなった」など、インターネット通販のトラブルに関する相談があった。

   さらに、「通販サイトで除菌アルコール液などの商品を購入したがアルコール濃度が低く効果がないものだった」、「売店でウイルスの消毒をうたうアルコール配合ハンドジェルを購入したが、本当に効くのか」など、性能や品質に関する相談もみられた。

   体温計でも、「通販サイトで体温計を注文したが届かない。口コミをみると詐欺業者のようだ」などの相談があった。

   一部でトイレットペーパーが品薄になるという虚偽情報が流れたことで、「トイレットペーパーが買えず、ネット通販で4パックを2万円で買ったが届かない」といった通販詐欺の相談もあった。

   新型コロナウイルスの影響で、旅行などを取り止めた人も多かったが、これに関連した相談も多かった。

   「旅行代理業」では、「クルーズ船ツアーをキャンセルしたら50%のキャンセル料を請求された」など、「航空サービス」でも、「格安航空券をキャンセルしたいが払い戻しできないと言われた」など、キャンセル料の請求や事業者と連絡がとれないなどの相談が多かった。

   また、「結婚式」を延期・中止した人も多かったが、同様にキャンセル料の相談や「結婚式を延期したが、新型コロナウイルスが終息しないため解約を申し出ると高額な違約金を請求された」など、結婚式を一度は延期したが、やむを得ずキャンセルを申し出てトラブルになるケースもあった。

   スポーツ関連でも、ジムやヨガ教室、ゴルフスクールなどの休会・解約などを巡るトラブルが多く発生した。

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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