万年ヒラ社員の年上部下に自己完結できる仕事を任せる〈前編〉【第7回】(前川孝雄)

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「人間関係からの切り離し」はハラスメント

◆ ハラスメント・リスク
   一定規模以上の企業には、Aさんのような非管理職や、役職定年後のシニア社員がいることでしょう。上司にとっては、いわゆる年上部下で、上層部からは「対応は任せるから定年まで何とか穏便に」と頼まれるばかり。そこで、チームへのマイナスの影響だけは避けようと、CASEのような対応をとりました。
   しかし注意すべきは、本人から「人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)」のハラスメントを指摘されるリスクです。上司は、「互いに気を遣わないため」と説明しましたが、本人が孤立感を深め、不条理な対応だと不満を主張した場合、トラブルになる可能性があります。

◆ 上司のアンコンシャスバイアス(固定観念、無意識の偏見)
   こうしたケースで、上司が部下に対して抱きがちなのは、「能力や人物に何か問題があるから、管理職登用されずに来たのだろう」「チームへの貢献は期待できそうにない」「そもそも年上部下は扱いづらい」といったイメージです。
   また、こういう人は組織への貢献意欲も低く、無理に仕事を頼んでトラブルを起こされても面倒。そこで、無難に、ほどほどに過ごしてもらうのがお互いのため、と考えがちです。しかし、こうした見方は、固定観念や無意識の偏見ではないかと一度疑って見る必要があります。

   次回の〈後編〉では、このケースをもとに、部下の思いを正しく捉えてハラスメント予防につなげるための心構えと方法を解説します。(前川孝雄)

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