政府が東京五輪強行で大会期間中はテレワークせよ! 「四十九日 家で喪に服せってか! 笑えない冗談だ」と怒り殺到

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   これも東京五輪・パラリンピックのために、国民が我慢しなければならない「犠牲」の一つだろか――。

   政府は「安全・安心な大会」のためと称して、企業などに「49日間」のテレワーク実施を強硬に求めた。

   ネットでは、

「観客を入れてPV(パブリックビューイング)も続けながら、国民を家に隔離しようというのか。いい加減にしろ!」

という怒りの声が殺到した。

  • この通勤ラッシュは危険だ(写真はイメージ)
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大会開催中は選手・関係者が移動するので危ない

   東京五輪・パラリンピックを「安全・安心な大会」にするためにと、武田良太総務相は2021年6月11日、大会開催期間中の49日間を、テレワークの集中的な実施を民間企業などに求める「テレワーク・デイズ」にすると発表した。

   主要メディアの報道や総務省の公式サイトによると、武田総務相はこう発言したのだった。

「大会開催期間中は、選手、関係者などの移動も発生することから、人と人との接触機会の抑制や交通混雑の緩和を通じて、安全・安心な大会を実現するため、より多くの団体にテレワークを実施していただくことが不可欠であります。先ほど、閣僚懇談会を開き、私から各大臣に対し、所管業界への周知徹底や、自らの省庁におけるテレワークの積極的な実施について協力をお願いしました。総務省からも各方面に参加を働きかけております」

   政府がテレワークの集中的な実施を求めるのは、オリンピック開会式の4日前となる7月19日から、パラリンピックの閉会式が行われる9月5日までの49日間だ。

   この期間は選手や関係者などの移動が特に多い。「バブル方式」で選手や関係者を囲って選手村や宿泊施設から競技会場まで専用バスなどで移動させ、公共交通機関を使わせないといっても、数万人以上ものボランティアや警備スタッフらは公共交通機関を使う。

   このため、3000以上の企業や団体に7割以上(出勤率3割以下)のテレワーク実施を求めるという。総務省のホームページに参加企業らの一覧を掲載するURLを設置。否が応でも参加せざるを得ない空気を醸成する。

   そもそも「テレワーク・デイズ」は、2020年(当時)に予定されていた東京オリンピック・パラリンピックを格好の機会として、働き方改革の一環として、テレワークを推進しようと2017年から始まった。12年のロンドン五輪でも期間中にテレワーク・キャンペーンを行い、その後、テレワークが定着したケースを見習ってのことだった。

テレワーク・デイズの期間(総務省の公式サイトより)
テレワーク・デイズの期間(総務省の公式サイトより)

   2017年に始めた当初は、「テレワーク・デイ」と文字どおり7月24日(2020東京五輪の開会式予定日=当時)の1日だけだった。それが2019年には期間を1か月半に拡大し、2887団体、約68万人が参加した。

   しかし、昨年(2020年)は新型コロナウイルスの感染拡大によって何度も緊急事態宣言を行う事態となり、期間を限定せず、四六時中テレワークを求めるありさまとなった。

   今回、東京大会の開催まで残り40日を切り、改めて強力に「テレワーク」を求めることにしたわけだ。

戦時中の「欲しがりません、勝つまでは」と同じ

   このテレワークの「押しつけ」に、ネット上では、猛批判の声があがっている。

   経営コラムニストの横山信弘氏は皮肉を込めながら、こう嘆息した。

「何と皮肉なことか。『テレワーク・デイズ』が批判されている。政府に対する不信感が非常に高まっている証拠だ。コロナとは関係なく、働き方革にとって重要な『テレワーク』を、五輪を契機に普及させようという思惑があった。ロンドン五輪でも市民にテレワークを呼びかけ、交通混雑緩和のみならず、事業の生産性アップ、ワークライフバランスの改善などにつなげた。この実績に見習ったプロジェクト。ますます重要性が高まっているのに、猛批判を受けている。参加企業も毎年増えていたことは知ってほしい」

   しかし、大半の人は怒り心頭の状態だ。

   エコノミストで経済評論家の門倉貴史氏は、こう指摘した。

「テレワークの実施は、中小零細企業にとってはかなりのコスト負担になる。昨年春の緊急事態宣言時には、テレワーク実施企業の割合が大きく高まったが、浸透・定着しなかったのは、多くの企業にとって導入費用の捻出が困難というのが一番の理由だ。開催意義すらよくわからない五輪を、安心・安全に実現する目的で、緊急事態宣言発出の如何にかかわらず、企業にテレワークの徹底を求めても、素直に応じる企業は少ないのではないか」
テレワークをできる人とできない人が(イメージ)
テレワークをできる人とできない人が(イメージ)

   国際ジャーナリストの高橋浩祐氏もこう批判した。

「コロナ禍でのオリパラ開催の可否や意義が問われるなか、民間企業が総務省のテレワーク要請に素直に従うだろうか。菅義偉首相や閣僚の発言は『パンデミック下でも五輪強行』との強硬姿勢を浮き彫りにしている。五輪ありきで『国民は何事も我慢せよ』との高圧的な態度は、『欲しがりません、勝つまでは』といった戦時中の国民精神総動員を想起させる。国民や企業にいろいろと要請する前に、オリパラ中止基準の明確化など国民への十分な説明が求められている。菅首相は特に紋切り型一辺倒の答弁で、国民への説明が不足している」

   弁護士で国際人権NGO「ヒューマンライツ・ナウ」事務局長の伊藤和子さんも、こう憤る。

「異常なことだ。仮にテレワーク要請に大企業が従った結果、街から人が消え、ただでさえ困窮している飲食店や百貨店、映画館など長いリストに及ぶ民業の経営は一体どうなるのか?すでに倒産や閉店の瀬戸際に立たされている人たちにさらに長期間、耐え忍べというのか?多くの人を地獄に突き落とす施策だ。その一方で、パブリックビューイング(PV)は続ける、観客を入れる可能性もあるなど、施策がチグハグすぎる。これほど国民に冷淡な愚策は、戦後類例を見ない。五輪開催は中止すべきだ」

   そもそも五輪関係者は「バブル方式」で一般国民から隔離するはずだったのではないか、と疑問を投げかける声が多い。

「確かに菅総理は『安全・安心だから大丈夫だ』だと言いましたよね? バブル方式とかで、基本的に一般人と接触機会がない、公共交通機関は使わないと。それなのに、選手と関係者の移動が多いからテレワークにしろと? 彼らの移動がちっとも安全・安心ではなく感染の危険があるということですね。それなのに、オリンピックに合わせて緊急事態宣言も解除するらしいし、なぜ私たちがリモートしなくてはいけないのか。隔離されるのは選手じゃなくて国民の方なのですか」

「四十九日」後、コロナで街が死んでなければいいが...

「忌明け」と同じ49日間のテレワークを求めた武田良太総務相
「忌明け」と同じ49日間のテレワークを求めた武田良太総務相
「オリンピック特別扱いに拍車が掛かってきた。緊急事態宣言は解除、観客は入れる、PVは続ける...。人流を増やすことをしながら、リモートワークは強化。勝手すぎる。テレワークで問題ないのは一部のオフィスワーカーだけで、自分たちのような技術系、現場系の人間は誰がなんと命じようとテレワークなんか絶対にできない。そんなにテレワークを推進したいならまず自分たちの無意味な会議をリモートにしたらどうですかね?」
「これは、学級閉鎖にするから家で自習しとけ。でも、学校では運動会やっているみたいな感じだな。小学生でもおかしいと思う」

   一方、総務省が発表した「テレワーク・デイズ」の期間が、偶然だろうが、「49日」=「四十九日」(忌明け)であることに、ネット上では「不吉すぎる!」という不安の声があふれている。

「四十九日... 喪に服すのかな?」
「四十九日法要かよ。笑えない冗談ですな」
「四十九日後、コロナで街が死滅していなければいいが...」

(福田和郎)

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