みなさん、こんにちは。
今回、注目したニュースは米石油大手のエクソンモービルの定期株主総会で、アクティビストファンドである環境派ファンド「エンジン・ナンバーワン」が推薦した取締役候補4人のうち3人が選任されました。
驚きなのは、このファンドの持ち株比率は0.02%と数の論理だけでは押し切れないところを、他の機関投資家や個人投資家から賛同を得て50%以上の得票率を得たことです。
日本では、おおよそ考えられない「事件」だと思います。
ガバナンスの欠如が企業価値を下げる
エクソンモービルは10年ほど前までは世界一の時価総額を誇る企業として知られていました。しかし、かつて1株当たり100ドルを超えた株価も、足元では60ドルを割っています。また、ここ数年は競合の英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルなどに対しても、環境対応で大きく遅れたと評されています。
この原因は、ESG(Environment=環境、Social=社会、Governance=企業統治)でいう「G」のガバナンスが欠如している状態といえます。対策する部分が今までも存在していたのにも関わらず、その責任を取締役会は放任してきたからです。
このようにガバナンスが徹底されていない状況は、ファイナンス理論の観点からすると業績のブレを大きくしてしまうと考えられています。
この業績のブレは、リスクの増加と同様に資本コストの増加をもたらし、将来のキャッシュフローの総和を資本コストで割り引いたものとする企業価値を引き下げる原因となります。
また、企業価値が下がると株価も下落することとなるので、今回のようにファンドが取締役の変更によるガバナンスの向上を発議。それが採択されるという出来事を引き起こしているというわけです。
ファンドのイメージ、日本人はなぜ悪い?
私の考え方として、このような枠組みはもっと日本でも取り入れていくべきだと考えています。
たとえば、「物言う株主」の提案が社長交代劇に発展した東芝のように、日本の企業はガバナンスが徹底できていない企業が多く、そのためにはアクティビスト(一定の株式保有を裏付けに、投資先企業の経営に積極的に提言する投資家。物言う株主)などが取締役を派遣して企業価値を向上させないといけないと考えます。
日本は、ひと昔前の村上ファンドのように、ファンドに対してあまりよいイメージを持っていない人が多いように感じます。これは金融リテラシーが低いことが最大の原因だと思われ、幼少期からの金融教育が今後の日本にはすごく大事ではないかと思います。
では、また!(馬医金満)