現代人はみんな忙しいので、じっくり文章を読んでいる時間はありません。そのため文章の大半は斜め読みで、必要ない部分は容赦なく飛ばし読みされます。
「『バズる文章』のつくり方」(尾藤克之著)WAVE出版
拾い読みしても全体がわかる文章を書く
忙しい人たちのために、まずは読者の「興味を惹くタイトル」。次に、「なぜこの文章を読む必要があるのか?」を考えて、あとはキーワードだけ拾い読みしても全体がわかる文章を書くことが大切です。
✖ 朝食に食べたい副菜10選
◯ 忙しい朝でもたった5分でできる副菜レシピ10選
✖ 株式投資入門
◯ 超簡単。初心者でも1年目から○万円以上稼げる、ヤバい投資法
夕食前の買い物に出かける主婦や、通勤途中のサラリーマンなど、時間がない人が目にすることを前提にタイトルを考えましょう。たとえば「朝食に食べたい副菜」と書くと、よっぽど副菜に興味がない限りは読まれません。しかし、「忙しい朝」「たった5分でできる」と入れることで、一気に主婦層の興味関心を惹きつけることができます。
なぜなら、夜に比べて朝はより忙しく、にもかかわらず毎日あれこれ頭を悩ませながら朝食のおかずを考えている人が多いからです。忙しい主婦に向けて「5分でできる副菜」を提案できたら、かなり食いつきますよね。
「株式投資」についていえば、「超簡単、初心者、1年目から○万円稼げる」とすることで、株式投資へのハードルが一気に下がります。仮に株にまったく興味がなかったとしても、「もしかしたら自分も稼いで得できるかも」と思わせることができるのです。
読者に「これは自分のことだ」と思わせる
「じっくりと読まない相手」をどう惹きつけるか? 一つは「あるあるネタ」を入れて、「これは自分のことだ」と思わせること。さらに「読者が考えている」ことを裏切ること。たったこの二つを意識するだけで、読者に「えっ!?」と思わせ、最後まで文章を読ませることができます。
この記事の抜粋は就活時期に載せたものです。就活生と企業の採用担当者が読者になります。大きな反響があったのですが、理由はおわかりになりますか?
《エントリーシートに書くべきこと、書かなくていいこと》
多くの学生にとって自己分析は新鮮に映ります。しかし「企業の採用と学生の就活」の双方に携わった経験から申し上げるなら、学生が自己分析することに力を注いでも、就活ではほとんど意味がありません。
それどころか「自己分析で見つけた強み」という思い込みは、誇大妄想になりかねません。誰もが実績として認めて数値化できるようなものでない限り、自己分析が他者と一線を画するほどのオリジナリティにあふれていることはまずないからです。
ここでは「学生にとって自己分析が新鮮であること」、しかしどんなに力を注いでも、「就活では意味がない」と突き放します。自己分析にどっぷりハマった学生からしたら、わずか2行で、奈落の底に落とされた気分になるのではないでしょうか。
このように、いかに読者の興味を惹き、わかりやすく簡潔に文章をまとめられるかが大切です。現代人はみんな忙しいので、じっくり文章を読ませようとしないことです。大半は斜め読みで、必要ない部分は容赦なく飛ばし読みされることを踏まえておかなければいけません。(尾藤克之)